読了『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』

花田菜々子さんの『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』を読み終わった。

「出会い系サイト」というものを偏見の目で見ていた自分と、「出会い系サイト」を通じて人生をどんどん切り拓いていく著者との相違が、とても気持ちのいい作品だった。

出会った人に本をすすめること、読書家になればなるほど本をすすめるのは難しいこと、すすめた本を読んでもらえる確率は多分低いこと、そういったものを目の当たりにしながら、本をすするめる行為は非常に大変なものと認識してしまうのだけど、それでも著者の花田さんが試行錯誤しながらも楽しそうに本と人とを結びつけることが、とてもとても素敵で、読み手であるこちらまでほっこりとした気持ちになってしまう作品で、とにかくここまでダラダラと書いてきたけれど、ただただこの本って面白かった!と思うのだった。

そして人様に本をすすめるというのは、さまざまなジャンルの本に精通していることが重要なのだなと、改めて思った。もちろん、得意なジャンルにしぼって書評をしている人だって世の中にはいるし、すべてのジャンルに精通している人のほうが稀だとは思うものの、興味のないジャンルになると文字がすべって頭に入らない私からすると、どんなジャンルの本でも読める人って神様なのでは?と疑いが発生する。

そして何よりも思ったのが、花田さんの文章がとにかく読みやすくて面白いということだった。「読書家=文章がうまい」と勝手に思っているのだけど、花田さんはまさにそういう人なのではないかと思っている。

本をたくさん読む人ほど、文章に触れる時間は長いので、自分が生み出す文章にも影響があるのではないか?と思うものの、実際には関係がないという人もいるし、文章でもなんでもセンスがものを言うといった話にも「まさにその通り!!」と思ったりもする。自分にセンスが無いので余計にね。

この本のように、読みやすくて続きが気になる文章を書きたいな~と思う気持ちも少しだけ生まれつつ、しかし私はやはり生み出すよりも、読み手でいるほうがラクだな~と諦めも生まれつつ、けれどこうしてnoteに文章を書くことはやっぱり好きなので、文章についてはまだまだこれからも悩んだりしていくのだろうな、と考えていた。


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