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読書日記・シンプルに

8月6日(火)

坂口恭平さんの『生きのびるための事務』を読む。

本の中に、文章を書くことは好きだけど、出版すること、稼ぐことは得意じゃないからやっていないというキャラクターが登場する。彼にとって重要なのは「毎日好きな文章を楽しく書くこと」。それができているから自分は幸せなのだと話しているのが印象的だった。

「文章を書くこと」が好きな人は、「本を出版したい」とか「文章で稼ぐ」のが自然な流れだと勝手に思っていたので、このキャラクターの発想に驚いた。でも考えてみるまでもなく、「文章を書くこと」と「本を出版したい」を同じ土俵に置いておく必要はない。それらは別物なんだから。

「文章を書くこと」が好きであるならば、ただ文章を書いていけばいい。自分が望んでいないのであれば、「文章を書くこと」を「本を出版したい」とか「文章で稼ぐ」とか、別のものに変換させていく必要はないんだ。

自分が心からやりたいと思っていることを、それ以上のものにしようとしなくてもいい。ただやりたいからやる、というのでよかったんだ。それは当たり前のことかもしれないけれど、どんなことも上を目指すものだと思い込んできた私にとって、この本は青天の霹靂だった。

好きなこと、やりたいことは、ただやる。そこに余計なものは混ぜない。シンプル。最高。





8月8日(木)

九州で地震。夫の実家が心配だったけれど、何事もなかったようで安心する。この地震をきっかけに南海トラフへの緊張が高まった。こういうとき、メディアは不安をあおるものだから距離を置いたほうがいい、とわかっているのについネットを見てしまう。いかんいかん、距離を置こう。




8月9日(金)

少しずつ読み進めていた、村井理子さんの『ある翻訳家の取り憑かれた日常』を読み終わった。とても素敵な日記本だった。


なんでもかんでも励ませと言っているのではない。否定的なひとことで、人間を奮い立たせることはできない。

『ある翻訳家の取り憑かれた日常』より引用


そうなのだ。否定的な言葉は、否定的な結果しか得られない。口を開けば否定的なことしか発言しない私にとって、耳の痛い言葉だからこそ覚えておきたいものだった。

そして、村井さんの本をもっと読みたくなった。この日記に出てくる、村井さんが翻訳された本たちを読んでみたい。





8月10日(土)

夜中ふと目が覚める。私の左側で寝ている息子を見たら、目が開いていたのでビックリしすぎて心の中で「ギャッ!!」と叫んだ。本当に恐ろしいときに人は声を失う。

目が開いているので起きているようだけど、声をかけたら寝ていることが判明した。息子は目を開けたまま寝ていることがよくあるのだけど、私はそれに慣れることができない。目を開けたまま微動だにしない息子がいつもこわい。

こわいけれどどうにもできないので、私の右側で寝ている犬に癒しを求めようとして犬を見たら、白目で眠っていたのでビックリして「ギャッッ!!!!」と心の中で叫んだ。白目をむいてるのは爆睡している証拠らしいものの、夜中に見るとビックリするし怖い。

私の両隣でいったい何が起こっているのだろうか(どっちも寝てるだけ)。二人とも(正確には一人と一匹だけど)、もっと普通に寝たらいいのにと思っている私は、よく笑いながら寝ているらしい。不気味さでは負けないよ!!

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