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コクーの文化を体現する「経営方針発表会議」へ!イマーシブな会議=文化醸成の最強ツール

「カルチャー推進室」とは、文化醸成のための専門組織で従業員満足度アンケートの集計および分析や、社内コミュニケーションの設計、有志組織の運営など、より強固な企業文化を醸成するために様々な業務にあたっている。そんなカルチャー推進室の業務の中でもとりわけ異質で、最も力を入れているのが、年に一度の「経営方針発表会議」の運営だ。
今回は2024年7月に開催した「経営方針発表会議」の裏側について語らせていただく。

経営方針発表会議の重要性

コクーは7月が期初であり、毎年第一土曜日の半日を使って経営方針発表会議を実施している。客先常駐型というビジネスモデルだからこそ、全社員が対面で一同に会する場はとても貴重で、大阪や福岡のメンバーも集まるのは一年の中でもこの日しかない。

従来の経営方針発表会議は前期1年の業績報告や、各部門の今期方針を社員に伝達する会議、という立ち位置だったのだが、年に一度、全社員が対面で集まれる場を、ただの情報伝達の場で終わらせて良いのだろうか。そんな疑問が私の頭をもたげた。
会社の会議に土曜半日を要し、他部門の業績報告などを延々と座って聞くだけ。このような体験からコクーが掲げる文化「圧倒的当事者意識」は生まれるのだろうか。
答えはおそらく否である。

社員にしてみれば本来であれば自由に過ごすはずの土曜日なのだ。
だったら、自由に好きなことをして過ごす土曜日以上の体験値を、この会議で提供すべきではないだろうか。
こういった体験値が提供できれば、経営方針の伝達という主目的に対して、当事者意識を持って受け取ってもらいやすくなる上に、コクーの文化である圧倒的当事者意識の醸成にも寄与できる。
さらに、そんな体験値を全て社員の手作りで提供することができたら。
コクーの理念「一人ひとりが、会社をつくる。一人ひとりが、未来をつくる。」を体現した社員によって作られた空間を提供することができたら。
言葉や情報の羅列よりも理念浸透ができるのではないか。

私はそう考え、約4ヶ月前から全て社員で作り上げる「経営方針発表会議」の本格的な準備に取り掛かった。

会議のテーマ設定


3月初頭。
一番最初に取り掛かったのが、第6期のテーマ決めだ。
コクーは5期より期毎のテーマ設定をしており、昨年は中期経営計画最初の1年であるということから「Unite for Growth〜成長のため、一つに〜」というテーマを掲げ、大木をモチーフにデザインイメージなどを統一した。

5期「Unite for Growth〜成長のため、一つに〜」のメインビジュアル

その次年である第6期は昨年のUnite for Growthの先にあり、さらに中期経営計画最終年への繋ぎとしての役割も持たなければならない。
昨年は大木をモチーフに一つになるというイメージを掲げた。第7期の大きな目標達成に向けて第6期で成さなければならないのは「成長」である。

「木」の先に「成長」を連想させるモチーフ、となるとやはり「花」だろう。だが、皆で成長して綺麗な花を咲かせようね、だけではあまりに綺麗事すぎる。全社員700名、多様な成長の仕方があるはずで、花開くための養分も様々な形があるはずだ。そして、この6期はあくまでそれぞれが花開く道中であり、現在の自分は既に満開の状態ではなく、もっと大輪を咲かせることができるんだ。
個々人が圧倒的な成長をする1年にしようというメッセージをこめて、「Bloom」ではなく、「Blooming」というテーマを設定した。
そこから社内の有志組織であるデザイン班に依頼をかけ、本会議のメインビジュアルを制作した。

6期「Blooming」のメインビジュアル

それぞれが成長する過程にはそれなりの努力があるし、様々な養分を取り込んだ先に毒々しい色の花をつけることもあるだろう。ただ綺麗で可愛い花が沢山、という絵面では成長のためには努力が必要であるというメッセージが伝わらないだろうという考えから、あえて毒気のある色味を多くした。
さらにデジタル人財輩出企業としての事業特性も盛り込むべく、幾何学模様を全面に配置した。

告知映像の仕掛け


3月後半。
テーマとビジュアルが決まったところで、どのように「経営方針発表会議」の周知を行うか迷っていた。
ただ会議情報の周知をするだけではなく、会議が楽しみになるような周知をしたいと以前から考えていたが、このタイミングで全社会議「全体Tsuki-Ichi」を4月5日に控えていた。
そんな時、とあるバンドのライブ映像を見ていると、公演最後に次回ライブの告知映像が流れていた。
「これだ!」と思い、4月全体Tsuki-Ichiの最後にサプライズで第6期「経営方針発表会議」の告知映像を流すことに決めた。
通常であれば代表挨拶で締める「全体Tsuki-Ichi」だが、そこで唐突に動画が流れ始める。
「なんだ、何が起こるんだ」
というざわつきを最大化し、会議情報が最後に出るタイミングを最高潮にしたい。となると動画の最初は少し不気味な雰囲気で惹きつけたい。だが、世の中に出回っている出来合いの音源では欲しい興奮が表現できない。そこで、楽曲制作ができる社員に予告動画用の楽曲制作を依頼した。
「静かに始まって、後半から壮大かつ重め、その上に電子音のバグりが乗っかるイメージ」
私からのオーダーはこれだけ。
そうして出来上がった音源に対し、さらに社員が動画を制作する。
映像のオーダーは「ホラーゲームのティーザー感」である。
この二つのオーダーから出来上がった映像がこちら。

動画放映時の会場内はざわつきに包まれ、その後の懇親会では「7月の経営方針発表会議、楽しみです!」と狙い通りの声を沢山もらうことができた。
期待値の引き上げには成功した。
ここからはその期待値を超える当日を作るための準備である。

会議構成の決定


4月中旬。
次に行ったのが会議の構成決めだ。
これまでコクーの経営方針発表会議は代表スピーチの後、事業部責任者やコーポレート部門の責任者が全員登壇し、ディスカッション形式での方針発表を行ってきた。
が、今年のテーマは「Blooming」で、個々人の成長を掲げている中、責任者レンジが集団で登壇するのはテーマに沿っていない。
となれば、今回は司会を設けずにソロでの登壇を基準にしつつ、全部門が前期振り返りと今期の方針発表をするのがベストと考えた。
だが、そうすると問題になるのは「飽き」が来てしまうことだ。見ている社員からすれば他部門の代表者がどんどん出てきて、耳馴染みのない言葉を話す時間が数時間続くことになる。どうすれば4時間という長丁場の会議を飽きずに楽しんでもらうことができるだろうか。どうすれば個々人の圧倒的成長の源泉になるモチベーションを提供できるだろうか。そんなことを考えていた時、入江CEOがこう言った。

「社外取締役と顧問にも経営方針に来ていただこうと思う。」

ハッとした。
社外取締役:森本 千賀子氏、顧問:経沢 香保子氏/澤 円氏。まさにBloomingし続けているビジネスパーソンが身近にいるではないか。
御三方にご登壇いただき、個々人の成長が重要である理由やモチベーションの保ち方など、Bloomingに繋がるテーマで講演いただけたら、最高の会議を提供できるのではないか。
私は即座に登壇を依頼した。
御三方とも出演を快諾してくださり、スペシャルゲストの講演を交えた構成となることが決定した。


会場美術の方針


4月下旬。
会議構成が固まったところで会場美術の方針決めに取り掛かった。

最初の構想は以下だ。

  • ビジュアルとテーマに沿って花をモチーフにしつつ、常に視界に入る位置に花の装飾を施したい

  • 前期テーマに併せて制作した木のモニュメントを入り口に飾りたい

  • 会場入り口からホール入り口までの動線で前期〜今期への移行を表現したい

  • 没入感が欲しい

これらの構想を実現しようにも、私は美術に関する知見が全くないのでどうしたものか、と思っていた。そんな私を見かねて社歌で衣装制作を担当しているメンバーが美術全般を巻き取ると言ってくれた。前職で某劇団の衣装を担当していたという経験もあり、あっという間にラフ画を作成してくれた。

前期の全体Tsuki-Ichiで使用した装飾や社歌の衣装の展示のラフ画

エントランス部分は前期ゾーンと位置付け、前期の「全体Tsuki-Ichi」で使用した装飾や社歌の衣装を配置しつつ、エントランス上部の照明は前期時点でのITインフラ・EXCEL女子・デジタルマーケティング・RPAの4事業部のカラー4色でライティング。

実際のエントランス上部の照明

前期コクーの道のりを表現し、ホール入り口に向けて徐々に花の装飾が大きくなっていく。パーテーションで区切られた向こう側には今期のテーマを表現した花の装飾がホール入り口を飾る.

花の装飾のラフ画

ホール内に入るとスクリーン脇に天井からの装飾、ステージ上にも花を配置し、Bloomingを表現する。花は園芸用品と結婚披露宴などで使用するジャイアントフラワーを組み合わせて制作する。

これらの装飾をもって、前期を振り返りつつホールに入ることで
「あなたは今、今期のコクーに足を踏み入れた」
というメッセージを込めた。
ホールに入って本編が始まった時点で全社員が今期に足を踏み入れているので前期の装飾はもう不要である。
全て解体し、エントランスから前期ゾーンを撤去。
4色のライティングは今期から発足した新規事業の事業部カラー2色を迎え入れ、全6色に。
次の休憩の時にはエントランスまで今期の装いになっているというわけだ。

6色のライティング

視覚面のアプローチが万全となったところで、よりイマーシブ(没入感)を演出するため、私は香りの手配に乗り出した。テーマパークの香り演出を手がける企業様にお伺いし、実際に何種類も香りを嗅ぎ、今期テーマと演出を印象付けられる香りはどれかを選ばせていただいた。結果、花らしさのする香りよりも土や木を連想させる方がいいという結論に至り、シダーウッド/レモングラス/グリーンティーの香りに決定した。

音楽と映像の準備


5月初旬。
次に取り掛かったのが音楽と映像である。
コクーは毎期のテーマを社歌にして発表しているが、例年秋の「NIKKEI社歌コンテスト」に合わせて制作をしていた。が、今年は期初7月の「経営方針発表会議」から社歌を発表し、期のテーマ浸透をより強めようという方針になっていた。社歌をどのように「経営方針発表会議」で流すか、最も今期のイメージを伝えられるタイミングはどこか。私の中で答えは一つだった。
会議のオープニングである。
社歌制作はMVというフォーマットに乗せるが、今回の会議ではMVである必要がない。歌詞をより印象づけるために最も効果的なフォーマットはリリックビデオだと考え、今期の社歌をリリックビデオにし、会議オープニングでサプライズ放映する方針とした。
4月に予告動画を作った社員に再度動画制作を依頼した。
私からのオーダーは「歌詞の言葉から連想される映像素材を並べつつ、今期テーマの花とデジタル感を混ぜたリリックビデオ」というあっさりしたもので、このオーダーから出来上がった映像がこちらである。

わずか1分半の中で、今期テーマ「Blooming」の言葉に込めたイメージや、経営方針発表会議の1日のコンテンツ情報を表現してみせた。

入場からオープニング映像で一気に引き込み、没入感が高い状態で代表スピーチに繋げる準備は整った。
さらに今回の会議は司会を設けずに進行した方が没入感が高いと考えたため、登壇者交代の繋ぎは全て動画で行うことにした。となるとゲスト登壇を含む14回の繋ぎを全て動画で行うわけだが、他部門の雰囲気やイメージを伝えるチャンスと考え、事業部の雰囲気や代表者の人柄に合わせて楽曲を選定、その楽曲に合わせて登壇用ムービーを全14本制作した。

また、事業部門と違ってコーポレート部門にはロゴがなかったのだが、登壇時にロゴを大きく表示させたまま登壇した方がかっこいいよな、という私のバンドマン思考が働き、デザイン班に全組織のロゴを制作いただいた。
さらに登壇者が話している間のBGMも全て事業部の特色に合わせて選定した。

カルチャー推進室のロゴ

そして経営方針発表会議では直近3ヶ月での成果者を讃える表彰式、さらに前期1年の優秀者を決める年間アワードの発表がある。この発表も動画で行うが、受賞者の名前を読み上げるナレーションも全て社員に依頼をする。
表彰式のイメージに合う声質の社員を探し、ボイスサンプルを送ってもらう。いくつかのパターンの中からこのテイストで収録してほしいと依頼をした。

こうして全ての内容が決まりきった。あとは実際の制作をひたすら進めるのみである。

「 経営方針発表会議」の開催

7月6日、「経営方針発表会議」当日。
13時からの本編を万全で迎えるために運営メンバーは朝7時から会場入り。会場装飾は有志メンバー10名ほどで事前準備した花や草木の設置を進めつつ、並行してテクニカルリハーサルが始まる。

そして、子育て世代の社員が土曜日開催の会議に参加できるようにするための託児室準備。

託児室の様子

6時間という限られた準備時間の中で、最高の空間を作り上げていく。
ようやく全ての準備が完了したのは開場5分前のことだった。

12時30分。
エントランスのドアが開くと同時に、700名の社員が前期1年を思い返しながら、ホールへ向かって進んでいく。ホール内の装飾に様々な感動の声が漏れる。

そして13時。
今期社歌の轟音と共にレーザーが天井を切り裂くと、会場内は歓声で包まれた。
こうして、約4ヶ月の準備を実らせ、コクー第6期「経営方針発表会議」は幕を開けた。

こうして改めて裏側を知ることで今期のテーマ「Blooming」のイメージがより伝わっていれば幸いである。

早いもので今期も折り返しだが、この半年を振り返って、皆Bloomingできているだろうか。ここから半年後には中期経営計画最終年である第7期が待ち構えている。第5期から始まった冒険の、いわばボス戦である。

それぞれが今できる最大限のレベル上げをしてこのボス戦に挑むべく、2025年1月10日の全体Tsuki-Ichiでは、改めて全員のモチベーションを上げつつ、全社の事業成長に寄与できる会を用意する。

全ての演出に意味を込めて準備を進めているのでお楽しみに。
それでは1月10日。会場で会おう。


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