見出し画像

夜市 (角川ホラー文庫) 恒川 光太郎 (著) / 暑い夜にホラーを

Kindle Unlimitedで、ササっと読めそうなホラー小説を見つけてクリックすると、有料版の時に購入済みだった。

10年間の電子積読
これが一番「ホラー」かも😅


『夜市』『風の古道』の2編が収められている。

『夜市』あらすじ
 
大学生のいずみは高校で同級生だった裕司に誘われ、夜市へと出かける。道中で話を聞くと、裕司は小さい頃に夜市を訪れており、それが今夜も開かれることを学校蝙蝠からきいたという。一旦は呆れて帰ろうとするいずみだったが、公園の奥にある森で、夜市は本当に開かれていた。

黄泉の河原の石、なんでも斬れる剣、老化が早く進む薬……それらを売っているのは、永久放浪者に一つ目ゴリラ、のっぺらぼう。いずみは帰ろうとするものの、裕司ともども道に迷ってしまった。いくつもの出店で帰り道を尋ねるが、「何か取引をしない限り、夜市から帰ることはできない」という答えが返ってくる。

帰る手段を考えるため、以前裕司が訪れたときの話を聞こうとするいずみに、裕司は実は全財産である72万円を持参してきており、ある欲しいものを手に入れるためにこの夜市を訪れたのだと告白する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/夜市_(小説)

『風の古道』あらすじ
 
7歳の春、花見に出かけた小金井公園で父とはぐれて迷子になっていた私は、見知らぬおばさんに導かれて入った奇妙な未舗装道を歩いて武蔵野市の家まで帰るという経験をしたことがあった。12歳の夏休みにその話を親友のカズキにしたところ、興味を示した彼と共に私は再びその道に入ることになる。その道は、古くから確かに存在しながらも、ほとんどの人間には見えず、神々や異形の者たちが通る特別な道「古道」であった。

どれだけ歩いても一向に出口が見当たらず、不安を募らせていた私達は、茶店でレンという名の永久放浪者の青年と出会い、彼の案内で最も近くにあるという日野市に繋がっている出口に向かう。しかし、遭遇したコモリという男とレンが争いになる中、カズキは重傷を負い、まもなく死亡してしまう。私とレンは、カズキを生き返らせるため、蘇生の秘術が伝わるといわれる雨の寺を目指して旅を続けることとなり、その道中でレンは私に自身の出生の秘密や、コモリとの因縁を語る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/夜市_(小説)

感想

 
『夜市』

 
読み始めてすぐに「会話文や所作の表し方が大雑把」と感じ「だから読まなかったのかな?」と思いながら読み進むと夜市に入ってから、この物語の印象がコロッと変わる。
「作者はここから先が早く書きたくて、冒頭の現実世界を端折って書いたのでは?」と思うくらい夜市の表現が生き生きとしている。
物語は夜市を抜けたところで終わり、その夜市が特段怖いかというとそんなことはなく、ファンタジーの世界。
「怖いのは人間」と、思いたくなる物語。
 
 
『風の古道』
 
『まつろはぬもの』というタイトルでコミックになっている。

コミックは原作とは別の物語らしい。
 
原作の方は「夜市」に続いて読んだからか『また、子供が異世界に入る話?』と思い、ページが進まない。
とりあえず読み終えたが、ストーリーの主体がはっきりしない。
長編小説ならありだが、この長さの小説で主人公(結局、誰が主人公だったの?)以外の登場人物のエピソードを盛り込み過ぎて、フォーカスがボケているように感じられた。
 

読み終えて

2作とも物語の終わりは " Unhappy ending "

両方とも子供が主人公なので「これで予定調和的に、めでたしめでたしだったら嫌だな」と思いながら読んでいくと最後のところで(筋書きに沿い)始まりのシーンにいた登場人物の誰かが欠けて物語が終わる。
 
そこがユニークな小説なのかも知れない。
全体的なトーンは暗めで、明るい物語が好きな人には向かないかも知れない。

 

MOH