Kindle Unlimitedで、ササっと読めそうなホラー小説を見つけてクリックすると、有料版の時に購入済みだった。
『夜市』『風の古道』の2編が収められている。
感想
『夜市』
読み始めてすぐに「会話文や所作の表し方が大雑把」と感じ「だから読まなかったのかな?」と思いながら読み進むと夜市に入ってから、この物語の印象がコロッと変わる。
「作者はここから先が早く書きたくて、冒頭の現実世界を端折って書いたのでは?」と思うくらい夜市の表現が生き生きとしている。
物語は夜市を抜けたところで終わり、その夜市が特段怖いかというとそんなことはなく、ファンタジーの世界。
「怖いのは人間」と、思いたくなる物語。
『風の古道』
『まつろはぬもの』というタイトルでコミックになっている。
コミックは原作とは別の物語らしい。
原作の方は「夜市」に続いて読んだからか『また、子供が異世界に入る話?』と思い、ページが進まない。
とりあえず読み終えたが、ストーリーの主体がはっきりしない。
長編小説ならありだが、この長さの小説で主人公(結局、誰が主人公だったの?)以外の登場人物のエピソードを盛り込み過ぎて、フォーカスがボケているように感じられた。
読み終えて
2作とも物語の終わりは " Unhappy ending "
両方とも子供が主人公なので「これで予定調和的に、めでたしめでたしだったら嫌だな」と思いながら読んでいくと最後のところで(筋書きに沿い)始まりのシーンにいた登場人物の誰かが欠けて物語が終わる。
そこがユニークな小説なのかも知れない。
全体的なトーンは暗めで、明るい物語が好きな人には向かないかも知れない。
MOH