『NHKスペシャル 古代史ミステリー 第1集 邪馬台国の謎に迫る』雑感
◉X(旧Twitter)でも、話題になっていたので、NHKオンデマンドで遅ればせながら鑑賞しましたが……。ひどい内容でした。京都大学の学閥と、元々は関西発祥の朝日新聞や毎日新聞は、邪馬台国畿内説に固執しているんですよね。理由は簡単で、邪馬台国九州説を認めると、神武東征神話に、考古学的な根拠があることを認めてしまうから。戦前の反動から、日本書紀の神話を全否定したいんですよ。でもそれって、学問的に中立な態度でしょうか?
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、弥生時代の集落のイラストです。
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■強引なNHKの論■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。日本の古代史学会はそのせいで、造営年代に卑彌呼の時代と100年近く時代がずれている、奈良県の箸墓古墳を、無理やり年代を繰り上げて、卑弥呼の墓としつこく喧伝しています。魏志倭人伝の記述や地名を検証すれば、登場する地名はほとんど、九州北部のものですから、そもそも 無理があるんです。
邪馬臺国と対立していた狗奴国も、後の熊襲の名前の由来になった、現在の熊本県の球磨川流域というのは、動きませんからね。ところが、このNHKスペシャルでは、箸墓古墳と周辺地域を邪馬臺国の中心地としたために、狗奴国を東日本の前方後方墳の地域とする、強引なやり方に。どうにも、NHKは倭国が半島の影響の上に成立したという部分を、強調しますが。韓半島自体が、遼河文明の辺境です。
■若狭湾と大陸系■
NHKのこの手の番組は、必ず日本は半島から文化が伝播したという話に、持って行きたがるんですが。ところが、日経新聞にも載った縄文人と渡来人の混血の度合い、それなら地理的に近い九州が最も混血度合いが進んでいて、北上するに従って混血度合いは薄くなるはずですが。でも実際は、福井や滋賀、三重、奈良、和歌山の順に混血が進み。むしろ京都・大阪・兵庫は四国より薄いわけで。で、古代史が好きな人には、若狭湾に天日槍(あめのひぼこ)と都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)が上陸した話を思い出すでしょう。
日本書紀の垂仁天皇二年の記述に、額に角の生えた都怒我阿羅斯等が穴門から出雲を経て、笥飯浦に来着したと。そしてこれが角鹿=つぬがの語源で、後に敦賀に転訛。けっきょく、日本列島への大陸からの人口流入は、下記の図の6のルートが、大陸からの伝播や人の流入ルートであろうと。そして、島根県がひときわ縄文の色が濃いのも、出雲神話との関係性で、興味深いですね。須佐之男命が退治した八岐大蛇は、正確には越の八岐大蛇。そう、継体天皇の本拠地です。
■九州・出雲・吉備・敦賀■
北部九州に邪馬台国の後継の国があり、ここを攻め込むのは難しかったので、福井から新潟の辺りに半島や大陸からの入植者が増え、でも島根や吉備といった辺りは、独自の王権があり、攻められなかったのでしょうね。そもそも日本の史学界は、稲作と半島を過剰に結びつけたがりますが。そもそも、稲作より粟や稗の方が、栽培作物としての伝播は早く。長江下流域の遺跡の辺りから伝播したのが約6000年前。粟はもっと早いわけで。そして、台湾の辺りにいたポリネシア人が、太平洋に拡散を始めたのが4000年ほど前。
イースター島のモアイと、奈良の猿石と済州島のトルハルバン、似てるでしょう? 卑彌呼の宗教を、三国志で陳寿は鬼道と書いていますが。同書の中で、3カ所ほど鬼道の言葉が登場するけれど、他の二つは蜀の国で流行した道教系の宗教団体である、五斗米道の事なんだとか。たぶん日本は、粟や稲やポリネシア系の文化が伝播する起き、原始的な宗教も伝播し、それが神道のルーツなのかもしれません。興味がある方は、こちらのnoteも参考にどうぞ。
どうにも、NHKにはイデオロギーの徒が、入り込んでいるようで。なんかもう、WBPC問題からコッチ、形振り構わなくなった印象です。
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