ドイツの幼稚園体験・食事について
3歳〜6歳(就学前)の園児達が混ざっている、25人前後のクラスが2つある幼稚園です。同じ建物内に保育園もあり、そこから入園前の慣らしで3歳前の2歳児がクラスに入る事もありました。
ー朝ごはんー 7時頃〜10時頃まで
幼稚園は朝7時から開園していますが、各クラスの、壁につけるように置かれた長机上に朝ごはんが準備されており、園児達が食べたい時に食べたい物を自由にビュッフェ形式でとって食べます。ミューズリー、コーンフレーク、牛乳、食パン、ドイツパン、ジャム、ハムやチーズなど日によって異なります。
飲み物は、水の時もあれば牛乳の日もあったり、りんごジュースやミックスジュースの水割り(ジュースは常にピッチャーへ入れて水で割ります。牛乳も大きなパックで準備された物をピッチャーに入れます)の時もありました。
クラス内にある複数の机(5、6人座れるサイズ)の内、朝ごはんが並べられた長机の側にある机が食事用になり、他の机はお絵描き用、卓上ゲームやパズル用となってそれぞれ自由に過ごします。
朝食は10時頃に「朝食、食べたい人は今が最後よ!」との声かけの後、キッチン専用職員さん(主に2名)によって片付けられます。
ーお昼ご飯ー 11:30頃〜
外部への発注で用意されていました。キッチン専用職員さん達は、運ばれてきたお料理を各クラスへ振り分けたり、器に入れ直したりして昼食の準備をしてくれます。キッチン前にはクラス毎に台車が用意されており、そこに必要な食器類とお料理が乗せられます。園にも家庭サイズのキッチンはあるので、サラダを作って足してくれたり、パスタソースを手作りしてくれる日もありました。
準備が整ったら、補助員や研修生、先生がクラスへ台車ごと運びます。
メニューは、
・トマトソースパスタとサラダ、ヨーグルト
・茹でじゃがいもと野菜ソース、パウンドケーキ
・野菜と豆のスープ、パン、トマトサラダ、プディング
・お魚ナゲットとライス、野菜スティック、洋梨
など、メイン料理+お野菜+果物又はデザートという感じで、曜日で「パスタの日」「スープの日」などが振り分けられており、金曜日だけは毎週デザートが『アイス』で園児達は楽しみにしていました。
・席は、1クラスは自由席で、手を洗って戻ってきた人から好きな場所へ座ります。他のクラスは、先生達が隣に座るとふざけ合ってしまう園児同士を離すなど状況を考慮し振り分けられていました。各クラスの働く大人達で判断されていました。
・各園児の為に用意されるのは、お皿又は深皿、フォークとナイフ又はスプーン、コップで、先生が昼食前に園児達を集めてお話をしている間に机上へ補助員や研修生が並べます。(先生も場合によっては一緒に準備したり、希望する園児は先生の許可が有ればお手伝いをする事もありました。) 食器は白い陶器、コップは透明ガラスです。園児が不注意で割ってしまう事も多々ありましたが、扱い方に注意するようには話をし、後は大人が処理します。
・各机毎に、大きなガラスのボールに入れられたお料理、又は大皿に盛られたおかずが置かれて、皆で手を合わせて神への感謝を述べた後(キリスト教の幼稚園です)、園児達各自が自分でボールや大皿に添えられたお玉や大スプーンを使って取り分けて食べます( 私はビックリしましたけれども!)。たまに誰が1番に取るかの順番で揉めますが、概ねスムーズに園児達で解決していました。
・飲み物は、お水がピッチャーでどーんと各テーブルに置かれ、これも園児自らがコップに注いで飲みます。
・デザートのヨーグルトやプディングは、日本のように個別の物ではなく、大きなボールにモリッと盛ってあるので、ある程度の園児が食べ終わった段階で、お料理や食器を運んできた台車の上で先生が小皿に取り分けて、先生の指示に従い(どの机の人から…と指示のある時もあれば、食べ終わった人から好きに取りに来てもいい…という時もあり臨機応変に対応)園児達が取りに行きます。
・食べ終わった後の食器は、園児各自が自分が食べ終わったタイミングでデザートを貰う前に台車へ戻します。(フォークやナイフは、水と洗剤の入った桶が用意されており、台車に並べる食器とは分けてそこへ入れます)。その為、園児は食べ終わった後に席を立ち食器を台車へ戻し、一旦席へ戻り、先生の合図でまた席を立ちデザートを受け取って席へ戻る事になります。そして、デザートの後の食器もまた自ら台車へ運びます。
・好き嫌いについては、例えばメイン料理が園児の苦手なものの場合、代わりにキッチンからドイツパンを取ってきて食べさせる、バナナやりんごを食べさせる、パスタソースは無しでチーズをかけるだけがいいなどもオッケーで、比較的大らかに対応されていました。が、食べ残しについては、各クラスの様子が大きく違いました。1クラスは、残さず食べるように少し厳しく指導されていましたが、もう一方のクラスでは園児が「もういらない。」といえば、破棄することを問題としていませんでした。(「沢山欲張ってお皿にとったのにいらない」、などは指導されていましたけれども。) 先生方の間でも、それらを良し悪しとする考えは様々なようでした。園の方向性としては、『園児が自分で食べる量を判断する(「もういらない」と判断する)権利』を尊重したい意向だったように感じましたが、わかりません。
・アレルギーには、料理を発注する先にも伝えて対応していました。私が働いた期間では、2クラスの中で1人だけグルテンアレルギーの対応食を食べている園児がいました。
ー軽食ー 14時頃〜
午後の軽食は、キッチン専用職員さんが用意してくれます。ドイツパンのスライス(バターを塗っただけの時もあれば、ハムやサラミ、ピクルス付きの時もある)や、ブレッツェル(ドイツの結び目のようなパン)、ミニピザ、菓子パンなどの軽食が用意されて、+果物やパウンドケーキ、ヨーグルトのデザートが多かったです。ミューズリーと牛乳の時もありました。
葡萄はフサのまま洗っただけのものがどーんとお皿で出されて、園児達が取り合うようにつまみ取って食べていたり(種あり葡萄も皮のまま種ごと食べます)、りんごや洋梨はカットされたもの、バナナはそのままで用意されているので補助員や研修生、又は先生が3分の1に切って皮に切れ込みを入れて渡していました。
軽食の飲み物には、リンゴジュースやミックスジュース(を水で割ったもの)がよく出されました。
パンなど手で持って食べることの出来るメニューで、お天気の良い日には、園庭にある円になるように置かれた丸太ベンチで皆で座って食べる事も多々あり、その時には主に飲み物にはカラフルなプラスチックコップを使いました。
ーその他ー
午前中に1時間半から2時間ほど近所の森(や公園)へ行く日が週に1日あるのですが、その日は園児がリュックに朝食と水筒を持参します。
持ってくる朝食はさまざまで、パンにチーズのサンドイッチや、切ったリンゴなどを持ってくる子もありましたが、ナッツ類、クッキー、クラッカー、チョコレート菓子などをタッパーに入れて持ってくる園児が多かったです。家を出る前に朝食を済ませている場合も多かったのかも知れません。
リュックを持参しない手ぶらの園児も混ざっており、「喉が渇いた。」「お腹がすいた。」と言ってくる園児もいましたが、園に戻るまで我慢せざるおえない場面もありました。持参した子がそういった子に、気前よく食べ物を分けてあげている場面も多々見られましたが、飲み物は直接口をつけて吸い飲むタイプの水筒を持参する子ばかりで、分けてもらうことは難しいのでした。水筒に持参する飲み物は水、ハーブティが多かったです。
園が準備してフォローするという事はなく、園としては、保護者には森へ行くことや水筒・朝食の持参を知らせているので、「持たせないのは保護者の判断」という感じでした。お誕生日の子がいてお祝いを森の中で行う日や、長時間森で過ごす予定の時、朝からとても暑い日などには、園から飲み物とコップを準備して持参していました。
ーお誕生日ー
お誕生日の子は、クラスの子全員へ向けてケーキを持参することが恒例でした。両親と一緒に焼いて手作りしたというパウンドケーキやカップケーキ、購入した大きなカップアイスを持参して来て、皆で分けた時もありました。
お誕生日の子はクラスで円になってお祝いをするので、その際にお誕生日の子、自らが皆に手渡しで配るのがお決まりのパターンでした。先生方も、自身のお誕生日の日にはクラスの園児達になんらかのお菓子を持参して配っていました。ハリボのグミだとか、チョコクッキーだとか。
私も誕生日に出勤があったので、パンケーキを50個以上焼いて持参し、配りました。
食べかすの落ちやすいケーキなどは、食べた後の床掃除が毎回大変なので、手で持ちやすく、食べかすの出にくいものを考慮して作りました。残りは職員達の休憩室へメッセージ付きで置いておき、皆にも食べて頂きました。
2021年10月1日
※2020年冬から2021年夏までの勤務体験を元に書いています。私の働いた幼稚園では…という体験記ですので、『ドイツの幼稚園がこうだ』と言うのではありません。