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いい加減、ふつうに生きるの諦めたい
就職活動をしていた大学院生のとき、どう頑張ってもみんなと同じように何十社も受けられなくて、苦しかった。学部時代には選べなかった「就職活動」という道を、やっと選べたと思ったらこれだもの。
どうして、みんなと同じようにできないんだろう。
不安で悩んでどうしようもなくって、何度かお話しした店主さんのいる小さなカフェにやってきた。
「あなたは、それでいいのよ。自分の軸があるんだから」
そうやって、力強く背中を押してもらったのを覚えている。
*
社会人2年目の夏。1年ほど前からずーっと体調が悪い。
「もう無理だ」と、何日も何日も日記に書き続けたある祝日の仕事で。もう、もうここにはいられない……と倒れそうになった。
帰ってから自転車で河原に向かう。風に吹かれながら、ふと思った。
もう "ふつう" でいるの、諦めたら?
ふつうに生きられている人たちに、答えを求めても出ないよ。
私のほしいものは。ほしい答えは。
きっと背中を押してほしいだけ。どんと強く。
*
昨日、踊りとヨガをしているクリエイティブな友人と話した。「歌ってもイベントやっても誰のためにもならない気がして、届かないのが苦しくて進めない」と。
「そりゃ、簡単には届かないよ。私たちはそういうの、諦めたところから始まっているんだから」
社会不適合だもん、しょうがないよ、と彼女は朗らかに笑う。
私はおそらく、この社会の一般的な枠にはまっていない。どんなにはまろうとしたって、はみ出してしまう。そもそも私のやりたいことは、その枠組みの中にないのだから。
それなのに必死にしがみついて、その中で評価されようと足掻いて、結局全滅してきた。一般的な成功法みたいな本を読んで、全然ピンとこないくせに「それは勉強不足だからだ」と恥じた。
「私ふつうじゃないのかも」とずーっと気づいていたのに、ずーっと思い切れなくて。ふつうとふつうじゃない私の狭間で、引っ張り合いっこされて進めなくて……そんな自分が嫌になる。
やっぱり、私は諦めさせてほしいんだ。ふつうに生きることを。
「もえかちゃんは、やりたいことがある人なんだよ」
「こっちに来るのはいつでもウェルカムだよ」
彼女の言葉は、そんな私の迷いを全部見透かしているかのようで。あの日みたいに、力強く背中を押してくれた。
私に道なき道を切り開く力なんて、あるのだろうか?
まぁなくたって関係ないか。
どうせこの道しか進めないのだから。