163. その分岐にて②
こっち?ほんとにこっち行けるの?
その分岐の入口は狭い。
先が見えない。
6号路は本当にこっちなの?
あなたはここに進んで行った?
いや、こんなに細い道なら、きっとあなたなら分岐で待っててくれるはず。
ここで、彼は真っ直ぐに進んでいったと確信をもった。でも、私は6号路に進んでいかねばならない、そうなぜか感じて不安になりながらも、一人で進むことにした。
Solo活動。初めての一人行動。できるかな...。
下りの6号路は初めてだったが、上りなら登ったことがある。記憶を辿って下っていく。
あ!見覚えのある道だ。小さな沢が見える。
少し安心した。
手元のスマホを見ると「圏外」と表示されている。
ガーンっ。言葉を失う。
もしかして、彼が折り返しの電話をしてくれているかもしれない!ヤバい。私の電話が不通で、LINEも未読だったら、私が遭難した!と心配するかもしれない。そんなことを考えたら動揺した。どうしよう。
遭難、遭難、まさかの遭難。
「私は遭難していないのよ~っ!」そう心の中で叫んだ。だって、6号路にはたくさんの人が歩いていたから。怪我もしていないし。道にも迷っていない。でも、電話が繋がらないことで彼は遭難を疑うかもしれない。
とにかく早く圏外のエリアから脱出しなくては...。
続く。
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