赤いニットを堂々と着たい
洋服が好きだ。
なにかをテーマに合わせてコーディネートすることがそもそも好きだ。
部屋は北欧っぽくまとめたいし、メイクは出かける場所によってさじ加減を変えるし、服は出かける場所とか会う人によって変えている。
人と付き合っていたときには、髪型も服装も靴も好みを聞いて参考にしてた。
「かわいいね」「似合うね」って褒められたくてたくさん合わせてた。
いわゆる「彼氏ウケ」の良いコーデをすることが私は全然嫌じゃなかった。下着から髪の長さと色、服を選ぶ時の方向性に生地まで参考にしてた。むしろありがたかった。
自分がいいと思う服は色んなジャンルを横断してあるけど、可愛いと思うものが似合うものではないことも30年も生きてるとわかってた。
私が可愛いと思っても、1番身近にいた彼からの「似合うね」を引き出せないものは着ていてテンションが上がらないから買わなくなっていた。
そんな彼の気に入らない服装ベスト3に食い込んでたのは彩度の高い服だ。
青、赤、黃、オレンジ、のビビッドな服。私はこういう服を見ているのが大好きだ。
強い色の服は歩いてると人目につきやすい。
もともと背が高いからヒールを履いて歩いてるとパッと視線を向けられることが多いけど、そういう時に強い色の服を着ているとさらに背筋が伸びる。
おしゃれスポットにお出かけするときとか、ヒールを履きたいとき、爪の先から頭のてっぺんまで今日は凛としたいって日にぴったりだ。
彼いわく「好みではないし、君に似合う服ももう少しベージュとかの落ち着く色合いな気がする…」とのことだったけど。
私だけで着る服は私一人でシャキッとキマるものにしよう
彼好みに寄せて買っていた服は、別れてしまった今、なんかフィットしないものになっていた。
新しいシーズンが来るたびに着るのがなんか億劫に感じて何着か処分した。夏にはベージュの半袖Tシャツを捨てて、秋にはココアブラウンのスウェットを捨てた。
優しくて落ち着いた色合いの服たちは彼と並んだ時はあんなにフィットしていたのに。一人になってみたらメリハリが足りない「無難」なだけの服たちだった。
「なんかくよくよした顔に見える定まってない服だなぁ…」って鏡を見ながらよく思った。
もったいなかったけど、もう捨てようって決めてからはすごく吹っ切れた。そして、捨ててから改めてもう人を基準に服を気にしなくて良いんだって気づいた。
最初はなにを着ようか悩んだ。だって好きな服装自体はたくさんあるから。
1日に3回着替えるのが世の中の当たり前なら良いのにってくらい、いろんな服を着たくなるから。
キャップを被って、バックプリントがでかでか入ってるビッグシルエットTを着るようなコーデも好きだし、タイトスカートにピラピラのブラウスを合わせるコーデも好きだ。
でも誰かとのお出かけでとなるとやっぱりトリッキーな組み合わせは避ける。
別にそれでもいいんだけど、私自身が私としていま着たいものはなんなのかなって最近考えていた。
誰かに褒められたいとか、なにかの目的とかをぜんぶ取っ払って、今自分が着たいなって服を選んでみたくなった。
何時間かWEARとかZOZOTOWNを回遊した。
そこで見つけたのが赤ニット。
ゆったりしたシルエットで、Uネックで、肩のあたりがストンと落ちるシルエットがゆるいのにきちんとしてて素敵だった。
目立つ色なのに肩ひじはらないでしっくりきそうたった。
このニットを着ていたら、着ていること自体が喜びになりそうで。なんなら着なくなっても手元で眺めてて嬉しくなりそうだ。
だから、家具を買うくらいの気持ちで購入してみた。
どこに着ていくとか、誰と遊ぶときなら着れるかとか、な~んにも考えないで、自分の好きなものを好きな空間に置く感覚で。
赤いニット届くのが楽しみだ。
去年の今頃はまだ絶賛彼と普通に過ごしていた。
去年の今頃からしたら、今ここでひとりで生きてるなんて考えてなかった。
でももう、私だけのために赤いニット選んで買ってるじゃん。えらい。