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【詩】わたくしの詩

果物が季節を披露する
あちらこちらの出店に
陳列された果物たちを
はっきりといえば桃を
それだけを欲しがって
どれが良いかしらって
どれが甘いかしらって
あちらこちらと覗いて
人々をかき分けながら
選ぼうとして選べずに
遠くで見ていたきみが
文さんなんだかまるで
蝶々のようでしたねと
わたしはびっくりして
少しだけ恥ずかしくて
とても優しいその声が
水のようにしみてきて
結局は何も買わないで
そのまま手をつないで
あたたかな気持ちだけ
刻んでおこうと笑って
心の中で反芻していた
よく晴れたいつかの日




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