アトピー周辺知識38 : 水素水再考・ポストバイオティクス
昨今自身のアトピー性皮膚炎の症状も落ち着き、短期的な治療方法としての水素水利用についてまた考える機会があったので改めて纏めてみる。
・水素水の種類と効果
水素に様々な疾患の治療効果があるのは以前紹介したが、腸内細菌叢での水素産生と水素飲用・水素吸入・水素水浴の相違、何故後者は水素総量で遥かに劣るのに効果が出るのかについては言及していなかった。
これについては後者が電解水素水であるからで、単純に水素が溶け込んだだけの水や体液とは抗酸化力に大きな差が出るそうである(効果として3〜5倍程度)。腸内細菌叢においては電気分解ではなく嫌気性発酵により水素を発生させているため、水素発生の総量自体は大きくとも後者に数段劣る効果しか得られない(嫌気性発酵は電気分解より水素産生効率が悪く発生速度も遅い)。加えてアレルギー性疾患患者は水素産生菌の総量が健常者の3分の一程度との話も有り、余計に外部からの水素摂取の相対的な影響は大きくなる。
さらに電解水素水は水素の抜けた後も抗酸化作用が残っているとの事であり、水素溶解水とは根本的に効果の異なるものであるらしい。
・電解水素水飲用による水素吸収
腸管にて吸収された水素水は静脈を経て肝臓まで運ばれるが、これは腸内細菌叢にて発生した水素が辿る道筋と同様であると思われ、肝臓にて抗酸化作用を始めとして様々な機能を発揮する。水素が他のポストバイオティクス同様に、人体の恒常性維持に大きく関わっている事の証左とも言えるだろうか。
因みに腸内にて吸収された水素の脳への到達量は微々たるものの様で、脳の炎症等を鎮めたい場合は水素水飲用より水素ガス吸入や水素風呂の方が適していると言える。
・水素と糖尿病及び高血糖の予防・改善効果
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20500723/20500723seika.pdf
水素水の摂取には例の如く糖尿病や高血糖の改善効果が有る事が報告されている。水素は腸管内にて吸収されて肝臓に蓄積し、血糖値・インスリン血中濃度・インスリン抵抗性・中性脂肪濃度の低減、肝臓への酸化ストレス軽減と多様な効果を発揮し、脂肪肝や肥満の改善に繋がる。これらは自由摂取の8割程度への食事制限と同等の効果となる。
水素は表皮症状の改善(表皮での血流増加、コラーゲン生成、酸化ストレス軽減)から高血糖・脂肪肝の予防・改善、肝臓での酸化ストレス軽減と以前紹介したビオチンと同等かそれ以上に広範にアトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患の治療に効果を発揮してくれる。そして裏を返せば元来恒常性維持において、腸内細菌叢由来の水素がそれだけの役割を担っていたという事でもある。
共に同じポストバイオティクスとして重要であるが、一方で治療に用いた際の即効性において水素はビオチンを凌ぐ効果を発揮する。
短期的な抗炎症作用を外用薬のみに求めるのが憚られるならば、電解水素水の飲用や電解水素水風呂、水素吸入によってそれを代替するというのも現実的な解決策だろう(ただし安心・安全な分費用は余分に嵩む事になる)。
さらに高血糖の改善効果から長期での体質改善にも充分に寄与してくれる筈である。除去療法・栄養療法や糖質制限と併せての水素療法による体質改善は治療に大いに効果を発揮する事だろう。
…最近は意図せず高血糖や肝機能の事ばかり触れている気がするが、有用なポストバイオティクスは大体がそれらを介して恒常性維持に関与している様なので仕方が無いか。偏に人類と腸内細菌の共進化の賜物と言える。
・追記 水素社会の実現
経済界では2030年での実現を目標に本格的な水素社会が目指されているとの事で、医療における水素療法の一般化も近い内により進展する事を期待したい。また一部農業・畜産業でも電解水素水は利用されている様である。
水素療法はアレルギー性疾患や糖尿病に加えて肝障害や脳障害等の慢性疾患の治療、感染症・自己免疫疾患や救急医療の治療補助と医療全般に大いに貢献してくれる筈である。行く行くは医療費控除や保険適用の対象となる事が望ましいだろう(慢性疾患の治療には高額な機器を購入・レンタルしての日々の摂取が不可欠なため、温泉療法等と同様に医療費控除が現実的だろうか)。
https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=1728
…一応だが電解水素水のみでガンが治る等の言説は流石に眉唾だろう。自己免疫疾患に対してもあくまで症状の緩和・軽減程度の治療効果しか見込めないと思われる。
ただアトピー・アレルギーや糖尿病等の慢性疾患・慢性炎症に対しては効果が相応に有る様で、note含めネット上でも電解水素水の継続飲用により血糖値が明確に低下したとの報告が散見される。