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アトピー周辺知識26: ATP・カルニチン

 昨今とても冷え、また皮膚症状もやや悪化気味であるため、その原因を探りつつ解決策を模索して行きたい。 そこで本記事では基礎代謝に関わるミトコンドリアでのATP産生・分解に焦点を当てていく。

 下部リンクは先天代謝異常症の1つである小児ミトコンドリア病に関する研究。アトピー性皮膚炎と違い確実な先天性疾患であるが、牛においてもほぼ同様の症状が表れる模様(罹患者の子供の発症率もミトコンドリア病が劣勢遺伝相応であるのに対し、アトピー性皮膚炎は優性遺伝相応と明確に差がある)。牛に亜鉛欠乏の症状が現れないのは人の5・6倍もある表皮の厚さも関係するだろうか。
 アレルギー性疾患とは異なる疾患だが、ミトコンドリア機能の低下がどの様な症状を引き起こすかを知る好例として参考になるため載せておく。

 

・アトピー性皮膚炎とATP産生・分解 
 ミトコンドリアによるATP産生は細胞分裂やセラミド合成による皮膚の修復に影響する。 そしてカルニチンはミトコンドリア内での脂肪酸のエネルギーへの分解に不可欠であり、創傷治療においても必須の亜鉛等に加えて重要な栄養素である。

 同様にATP分解に必須となる亜鉛は細胞分裂やセラミド合成のみならず、炎症により細胞外へ放出されたATPを分解し炎症拡大の抑制としても働く。

 自身のカルニチン摂取感としてはアラニン含有アミノ酸スポーツ飲料によるスタミナ持続向上と類似し、これはアラニン・アルギニンと共に運動時の補助としてよく飲用されるため納得の結果であった。また基礎代謝向上と目立った発熱促進が感じられた。

 ただ人によっては摂取により痒みや発疹が出る場合が有るため、摂取の量とタイミングには注意が必要となる。

 また亜鉛の増量摂取感として炎症や痒みの抑制と皮膚修復の迅速化を確認出来た。

 今後アラニンの使用も検討する。運動補助以外にも肝臓補助や修復、皮膚保湿成分合成に必要との事。
 肝機能の低下した動物はアラニン・グルタミンを欲するとの報告も有り、ボーンブロス等の旨味スープを好む私自身もまたそうなのだろう(アラニン・グルタミンは肝臓の再生を促進する)。

・カルニチン不足の原因
 カルニチン・アラニン共に皮膚修復に必要であるが、その不足原因は果たして何だろうか。
 また胃腸での消化・吸収不良によるものかもしれないが、小児においては一部抗菌薬による低カルニチン血症も起き得るとの事。

 アレルギー性疾患による肝臓・腎臓の機能低下、結果としてカルニチンの合成機能も低下というのが成人罹患では有力だろうか(カルニチン合成機能は老化によっても低下する)。
 カルニチン合成機能の低下した腎臓の排出機能のみ促進するとカルニチンの排出も促され不足に陥り易く、私自身の現状がこれだったかと推測される。

 カルニチン欠乏の症状はアレルギー患者の体質であるBMIの上昇(脂質蓄積)や易疲労性とも合致する。
 またカルニチン摂取にて休息時のドーパミン抑制作用による睡眠改善効果が報告されており、こちらもアレルギー患者の睡眠障害とも矛盾しない(成長ホルモン産生低下のみが原因ではなかった模様)。


 カルニチン欠乏は亜鉛欠乏と同じく肝機能を低下させ、尿素回路による代謝をも滞らせ血中アンモニア濃度の上昇や低血糖を招く。 血中のアンモニアは脳に到達すれば頭痛や倦怠感の原因になるため、自身の片頭痛の直接原因はこれだと思われる。


 これらは最近の研究により判明した事実も多く、研究の進展に感謝しその今後にも期待したい。 またアレルギー性疾患に対する栄養療法・補充療法の可能性により確信を得られた。

 BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンというアミノ酸の総称=分岐鎖アミノ酸)の摂取も肝臓のエネルギーとなりつつ、筋肉で代謝されてアンモニアの解毒を行うため肝機能の補助として有効である。

・アトピー性皮膚炎と運動
 …話は変わるが一般に白人が寒さに耐性がある理由にもカルニチン・グリセロールの活用が関わり、脂質の効率的な蓄積と代謝による高体温の維持、更に体格や筋肥大し易い性質(発熱量・骨格筋内に主に存在するカルニチン保有量大)も優利に働く様である。これらはアトピーに罹患し難い体質である一方で他の免疫異常等は防げない(皮膚癌や乾癬等はむしろ白人の方が罹患率が高い)。 一方でアジア人は一般に蒸し暑さに耐性を持つため対照的な体質を持つと言える(東アジア圏はそこから更に耐寒性を獲た形質であるため中々に特殊)。

 基本的に運動はアトピー性皮膚炎治療に良い影響を与えるので適度に継続していきたい(誘発し易い痒みは栄養療法を継続すれば抑えられる)。
 運動はカルニチンのアセチルカルニチン(脂質結合型カルニチン)への結合・産生を促し、脂質の分解・代謝のみならず不要な脂質の尿中への排出や、脳内での抗酸化機能の増加や神経機能の活性化・脳内に蓄積したコレステロール等の悪性脂質の排出を促し脳と人体の老化を抑制する。

 また血中のコレステロール値は片頭痛との関係性も指摘されており、コレステロール値の高さは頭痛の強度や頻度と相関が有り、コレステロール値の低下は頭痛の快方とも関連が報告されているとの事である。
 筋肉での代謝によるアンモニアの解毒と併せて運動は頭痛の改善にも効果的と言えるだろう。
 サプリ摂取と併せて行えばスタミナ持続向上により長時間の運動も容易になり、炎症予防効果により運動後に疲労や筋肉痛も残り難く尚良い(アレルギー性疾患の患者は易疲労性も有りアミノ酸サプリ摂取後の運動が望ましいか、また運動習慣化後すぐは鉄分も不足し易い事にも注意)。

 …ただ汗は放置すればアレルゲンともなり得るので運動後は汗だけでも早々に洗い流すのが望ましい。

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