寝付けなかった息子の告白
息子はおもちゃ屋より本屋が大好きな子どもだった。本屋の子どもコーナーに置いてある小さな椅子にちょこんと座り、声を掛けられるまでずーっと読んでいた。懐かしい。
いつから本好きになったのか思い返すと、息子の1歳の誕生日に義母が『学習マンガ 日本の歴史』の1〜3巻を買ってきてくれたことがきっかけだ。
「え?1歳でこんなの読むわけないじゃん!」
私は思ったのだけど、ふと気がつくと読めているかどうかはわからないが、しげしげと分厚いページをめくる息子の姿。
すっかりハマってしまった息子。小学校入学前には全巻制覇していた。
読み聞かせもかなり早い段階からやっていた。
というのはけっして教育のためではなく、昼夜逆転でなかなか寝付かない息子に一刻も早く寝てもらうために読み始めたのだ。
毎夜、私の枕元にはあっという間に顔の高さを超える絵本が積み上がり、うとうとしかかった私に向かって雪崩を起こしたことも数えきれない。
読みながら私の方が寝てしまい、本が顔を直撃することもしょっちゅう。本に埋もれる夢も見た。
『ねずみくんのチョッキ』『はらぺこあおむし』『ねないこだれだ』
あらゆる絵本を丸暗記できるぐらい読んだ。プラレールやトミカ、きかんしゃトーマス以上に、息子の本棚は、ものすごい絵本の量になった。
そういえば、いつ読み聞かせをやめたのだろう。
「もう、ボク1人で寝るよ」
ある日言われたような言われていないような‥。
小学6年生ぐらいの声変わりし始めたある日、息子が唐突に言った。
「あのさぁ、オレがちっちゃい時めっちゃ読み聞かせしてくれてたじゃん?あれさぁ、お母さんの読み方が劇場型すぎて、よけい寝れなくなっちゃったんだよねー。」
ん?息子よ‥‥。今なんて言った?めちゃくちゃすんごいことをさらっと言ったぞ!!!
\ガーン!息子の寝付きの悪さがまさか私の読み方だったなんて!!!/
いまさらの数年越しの告白。
しばらくの沈黙ののち、2人して大爆笑したのだった。
この「劇場型読み聞かせ」、今は私の持ちネタの1つになっている。
それにしても‥。
あの日々、寝付かなさに目の下にクマをつくり悩んだ私に教えてあげたい。
思い返せばとっても貴重で、ほんの少しの期間だった読み聞かせの大切な時間。
今読み聞かせをされている皆さん、感情移入にはくれぐれもご注意を 笑。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?