【読書感想文】 祝祭と予感
本日は、『祝祭と予感』(恩田陸 著)をご紹介します。
『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編小説集。
本編の補足的な感じで各編が短いですが、コンクール前後に起こっていた登場人物たちの知られざる秘密がドラマチックに描かれています。
この作品を読むとより本編に深みが感じられ、文章から奏でられる音楽がさらに美しく聴こえてくるようです。
その中でも私が特に感動したのは、コンクールの課題曲の誕生秘話が描かれた切なくも優しい物語「袈裟と鞦韆」と、ピアノの巨匠とまだ幼かった主人公との運命的な出逢いの瞬間を描いた物語「伝説と予感」。
哀しいこともあるけれど、音楽だけではなく、大切な人の想いや願いも未来へ繋いでいくという希望の光が見えたようで、ひとつひとつのシーンが心に響きました。
P.S.
ブランコに漢字があることを初めて知りました。
しかも、「鞦韆」はブランコの他に「しゅうせん・ぶらここ・ふらここ・ゆさわり」と4つの読み方があるそうです。
勉強になります。