一杯の味噌汁が娘の幸せに繋がってたみたい
今日、こどもたち3人と夕飯を食べながら、理想の食事について話していた。
「ねぇねぇ、外食って月に何回くらいしたい?」
ママからの問いに、夕飯の肉巻きポテトを箸でつまみながら、小6の長女ちゃんは答えた。
「んー…。月1かな。」
「そうなんだ!あ、ちなみにね、ちびまるこちゃんのはなわくんくらいお金持ちだったとして、毎日でも外食できるよってなったら、何回くらい外食したい?」
おかんの新たな提案に、小4の次女ちゃんがノリノリで答え出した。
「えー!すごぉぉい!そしたら2週間に1回はお寿司かガストがいいっ!!!」
「ガストかぁ(笑)おもちゃのコインもらえるもんね!!」
「そうそうっ!!」
キラキラした目で答える次女ちゃんの声は、とても楽しそうだった。
「そっかぁ。長女ちゃんも次女ちゃんも、毎日外食できたとしても、月1とか2週間に1回とかでいいの?外食だったらさ、好きなメニュー選べるけど、家のご飯だと基本的にママかパパがメニュー決めちゃうじゃん?」
子どもの頃に外食することにとても憧れがあったママからすれば、こどもたちの回答は『あまり欲がない』答えにも感じていた。
「あー。なんだろう…。給食とかもさ、『今日のメニューなんだろう~!あー、これかぁ!!』ってテンション上がったり、普通だったりするんだよ。で、時々リクエスト給食とかあると『やったぁぁ!!』って嬉しくなるし。毎日テンション上がるご飯なのも嬉しいけど、時々めっちゃハッピーな時があるのがいいじゃん?」
今度は長女ちゃんが目を輝かせながら話してくれた。さらに、炊きたてのご飯を一口食べた後、
「それにね、外食は外の味なんだよ。私は家の落ち着く感じと家の味と匂いが好き。『いつもの』感じが私はいいなぁって思う。」
と話してくれた。
そう。長女ちゃんは、いつも本当に美味しそうに食べてくれる。
「ママ~!これ好きぃ!!んー!美味しい~!!」と声に出して伝えてくれるし、表情にその想いが溢れだしている。
長女ちゃんの話を聞いて、次女ちゃんが乗っかってきた。
「家の味もさぁ、ママいろいろ作るじゃん?だからいろんな味あるよ!!でも『いつもの味』ってある。私も『いつもの味』が好き!!」
『いつもの』感じがいい。むしろ好き。
そんな風に感じてくれていたとは、母親冥利につきる。
そっかぁ。そうだよなぁ…。
こどもたちにとっての日常に、『いつもの味』で彩りを添えられていたのなら、今まで料理を作ってきた歳月が尊い時間のように思えてきた。
そして、日常があるからこそ、非日常が存在する。
彼女たちにとって、外食は非日常であり、イベントのようにワクワク楽しめるのだろう。
「あ。でもさ、家の味って言っても、ママもお惣菜買ってくることもあるし、家で食べるけど買ってきたものだったりもするじゃん?それはどうなの?もっとママ作ってよ~!とか思うの?」
ママからの素朴な疑問に、こどもたちは考え始めた。
「別に買ってきたものとか気になんないけど、ご飯は炊きたてだとなんか嬉しくなる!!」と次女が答え、
長女はしばらく考えた後に、真顔で答えた。
「味噌汁だけは絶対手作りがいい!!!」
さっきのワクワクした表情とはうってかわって、真剣な眼差しに感じた。
「そうなんだ!!インスタントの味噌汁はイヤってこと?」
「うんっ!!!無いよりはあった方がいいけど。ママの味噌汁は毎日飲みたい。」
どうやら長女ちゃんの味噌汁への想いは、ママの想像よりも遥かに強いようだった。
『ママの味噌汁』といっても、我が家はだし入りの味噌を使っているし、そんなに具材が多い訳でもない。たいていは2種類の具材(大根と人参、玉ねぎとわかめ、なめこと豆腐、等……)の簡単な味噌汁だ。
そして、晩酌する時には味噌汁を飲まないパパと、味噌汁が嫌いな5歳の長男と、夏に熱い汁をすすりたくない次女ちゃんがいる我が家にとって、夏場は味噌汁いらないのではと思っていたところでもあった。
と、今書いた説明を長女ちゃんに伝えると、
「ママの味噌汁があると、安心するの。ほっとする。炊きたてのご飯があって、ママの味噌汁が飲めて、いつもの席に座ってみんなと食べるのが、私は好き。『あー、今日も幸せ~!』って思う。」
と、味噌汁のお椀を持ちながら話してくれた。
理想の外食の回数の話から、味噌汁が長女ちゃんの日常の幸せになっている話に発展するなんて、思いもしなかった。
日常を味わい、一杯の味噌汁に幸せを感じている長女の感性が、私は大好きだ。
さらに、彼女の幸せに自分が少なからず貢献出来ていたことも、とても嬉しかったし、幸せだなって思えた。
大好きな人にとっての、日々の幸せの一部になれているって、私にとっては幸せなことなのだということも、改めて感じる時間となった。
こどもたちの『いつもの』味、雰囲気、空間を創ってこれたんだなぁと思うとね。なんだか感慨深いな。
会話の最後に、
「ママのご飯でも、リクエスト給食みたいに、私達がリクエストする献立があっても面白いんじゃない?」
と長女ちゃんが提案してくれたことから、次女ちゃんと長男くんも話が弾み、リクエストしたいメニューを考え始めていた。
「日常の中にイベント感を味わえるのもまた違った楽しみ方が出来ていいね、いいねっ!」
と言いながら、ふと『日常』と『非日常』ってなんだろう?とまたほわほわと頭に浮かんできたので、この話はまた改めて考えようと思う。(考え出すと寝れなくなっちゃう。笑)
明日も朝から晩まで仕事だけれど、味噌汁だけは、やっぱり作ろうかなと思えた夜だった。