ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』『べつの言葉で』
今週は少し暖かかったですが、また来週から寒気が入ってくるそうで、もしかしたら雪が降るかもしれませんね。今週は、ちょっと前に読んだこの本をご紹介します。
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「孤独はわたしそのもの。孤独に動かされてわたしは書いてきた」――ジュンパ・ラヒリ。歩道で、仕事場で、本屋で、バルコニーで、ベッドで、海で、文房具店で、彼の家で、駅で……。ローマと思しき町に暮らす45歳の独身女性、身になじんだ彼女の居場所とそれぞれの場所にちりばめられた彼女の孤独、その旅立ちの物語。大好評のエッセイ『べつの言葉で』につづく、イタリア語による初の長篇小説。 -Amazonより引用-
ジュンパ・ラヒリさんの小説を初めて読みました。この本のカバーの扉部分に書かれていた、Paese Sera紙の評が気になって、読んでみたいと思いました。その文章を引用します。
「強烈なできごとで読者をつかむのは易しい。文学においてより困難なのは、取るに足らない生活の側面を描写することで、ラヒリは本書でそれをやり遂げた。」
取るに足らないできごとを描写して評価を得ている小説ってどういうものだろう?と興味を持ちました。読んでみると、確かに取るに足らない生活の一部が描かれているんだけれど、ラヒリさんが描写すると取るに足らないことじゃなくなります。表現力、言葉の並べ方、感情の描き方がすごいです。こういう感情わかるなあ、と思ったり、それはちょっとわからないなあ、とか考えながら、楽しく読みました。外国に住んでいる外国人の人と私とでは、育った環境も何もかも違っているはずなのに、その気持ちわかる!という部分がたくさんあって、それは感情が丁寧に描かれているからかもしれない。
他の作品も読んでみたくなって、エッセイも読みました。『べつの言葉で』はエッセイですが、初めてイタリア語で書かれた作品です。母語ではないイタリア語を習得しようとする著者の苦悩が描かれていました。イタリア語で書きたいという強い信念、すさまじい努力です。次は英語で書かれた作品(私が読むのは翻訳ですが)を読んでみたいです。
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