最近読んだ本の話 vol.26

  「最近読んだ本の話」の第26弾です。今年の梅雨はとても長い。来週とうとう明けるかもしれない。梅雨が明けたらやりたいことがあるわけでもないのですが、待ち遠しいです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、原田マハ『〈あの絵〉のまえで』

詩帆17歳の誕生日デートは岡山の「大原美術館」、ピカソ〈鳥籠〉のまえ。それからふたりはいつも一緒だった。けれど、彼は今日旅立つ。
(「窓辺の小鳥たち」)
ある少女に導かれるように会社と逆方向の電車に飛び乗った私。箱根「ポーラ美術館」のセザンヌ〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉のまえで夢を諦めた記憶が蘇りーー。(「檸檬」)
日常の中の小さな幸せに寄り添う、珠玉の6篇。    -Amazonより引用-

 原田マハさんの本は、読むと希望がふつふつと湧きおこってくる感じがします。この本を読んで、自分の好きなことをもう一度やってみようかな、という気持ちがむくむく湧いてきました。登場人物たちの心の変化が読んでいると伝ってきて自分まで元気づけられる、そういう物語でした。


2、アントワーヌ・ローラン『ミッテランの帽子』

その帽子を手にした日から、冴えない人生は美しく輝きはじめる。舞台は1980年代。時の大統領ミッテランがブラッスリーに置き忘れた帽子は、持ち主が変わるたびに彼らの人生に幸運をもたらしてゆく。うだつの上がらない会計士、不倫を断ち切れない女、スランプ中の天才調香師、退屈なブルジョワ男。まだ携帯もインターネットもなく、フランスが最も輝いていた時代の、洒脱な大人のおとぎ話。        -Amazonより引用-

 1980年代、ミッテラン大統領の帽子を偶然手にした人達の人生が変わっていく物語です。その帽子を手にすると、以前の自分では考えられないような勇気が出て以前とは違う行動をして、その人の人生が好転していくという、魔法のような帽子です。もし今、自分の手元にこの帽子があったとしたら、どんな行動をするだろう?と考えてみたりして楽しく読みました。


3、F『真夜中乙女戦争』

東京は、あと一分で終わる。愛していると言えないうちに―。

愛って、なんだ。永遠って、なんだ。眠れない夜は、どうすればいい。
この退屈は、虚しさは、どうすればいい。
どうせ他人になるのに、どうして私たちはどうでもいい話をしたがるのだろう。
どうせ死んでしまうのに、どうして今こうして生きているんだろう。
死ぬまでに本当にやりたかったことって、一体なんだったのだろう。
いま、青春小説史上、恋愛小説史上、犯罪小説史上、
最高に過激で孤独、そして正しく、美しい夜更かしが始まる。
                         -Amazonより引用-

 Fさんの本を初めて読みました。言葉と思考がすごい。圧倒的な言葉の力と、主人公と先輩とのほわっとしたようなやり取りの緩急。気がつけばFさんの言葉を夢中で追いかけている。次にどんな言葉が出てきて物語がどう展開するのか先が全く読めないですが、私が夢中になっていることだけは確かで、この本に出会えてよかった、知らないまま生きているのはあまりにももったいないと思う1冊でした。


 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。本との出会いって不思議ですね。何がきっかけになるかわからないから面白い。ほんの少しのことがきっかけで大切な言葉に出会えたりします。来週また書けるかな。


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