新緑の季節に思うこと
5月は緑の美しい時期です。街を歩いたり、野山に出かけると、みずみずしい若葉をつけた木々を目にして、心が洗われるような気持ちになります。
仕事でアパートやマンションの管理業務を行っていますが、建物の敷地内の植栽にも、きれいな緑色の葉がついています。
皆さんも、若葉の美しい木々を目にされる機会があるでしょうか?
そうした樹木を見る時、視線を挙げて上へと伸びる枝や葉に注目されることが多いと思います。
では、視線を真逆の方向に向けると、つまり視線を落として見ると、どんなことに気づかれるでしょうか?
木の種類にもよりますが、ある種の木の根元の地面に落ち葉が降り積もっていることがあります。
「落ち葉」というと秋、とイメージが湧きますので、新緑のこの時期になぜ?と思われることでしょう。
わたしもずっとそう思っていました。
不思議に思いながら毎年観察していると、あることに気づきました。
新緑の時期に葉を落とす樹木は、ほぼ一年中葉をつけている。秋の時期に色を変えることなく、葉を落とすこともない。毎年4月から5月にかけての時期に、新しい葉が生えてきて古い葉を落とし、生まれ変わったようにみずみずしい若葉をつけている。
調べてみると、このような樹木は「常緑樹」と呼ばれるものだそうです。
日本でよくみられる「常緑樹」は、カシ、シイ、マツ、スギなどなど…どれも身近なところで目にする木ですね。
これら「常緑樹」について調べていくと、興味深い一文を見つけました。
自然界に存在する生命は絶えず変化し、自らを更新させながら生きているのですね。
考えてみれば、人間も絶えず自身を更新して変化しながら生きているのです。体の細胞は絶えず作り替えられ新しくなっていきます。それによって、身体は最適な状態に保たれ生命が維持されています。
こうした変化は何も怖くない。無意識下で起きているから。
でも、意識的な変化についてはどうでしょうか?誰もが、それを経験することでしょう。転職や引っ越しといった人生に大きな影響を与える変化もあれば、食習慣を変えたり自分のルーティンとなっている行動パターンや選択の仕方を変えるような小さな変化もあります。こうした意識的な変化を経験する時には、大きな力や勇気が必要だと感じますよね。変わらないことに安心感を覚えることが多いものです。自分が今身につけているものを脱ぎ捨てることに恐怖すら感じるかもしれません。
そんな時、絶えず変化しながら美しくなっていく木々を思い浮かべると、一歩踏み出せそうです。
「常緑樹」は、新しい葉をつけ古い葉を落とすことによって、光合成の効率を上げより多くの養分を得られるようになるそうです。結果として、木全体が元気になり、大きく成長していきます。
人間も、古いものを捨て新しいものを身につけることによって成長し、人生を今以上に楽しめるようになれると思います。その姿は、樹木のみずみずしい若葉のような爽やかさを与えてくれるものとなることでしょう。
わたしもそんな人として生きていきたい。
美しい新緑の季節を、こんなことを考えながら過ごしています。