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映画『イントゥ・ザ・ワイルド』-大切なのに許せないって一番苦しい生き方かもしれない

1年ほど前に知り合いから勧められたものの、配信にないため鑑賞を先送りにしていた『イントゥ・ザ・ワイルド』。(近所のTSUTAYAがもっぱら閉業してしまったのが悔やまれる…)
勧めてくださった方と久しぶりに密に連絡する機会があったので、おすすめしておいてもらって鑑賞していないのは不義理だなという気持ちもあってレンタルしに行った。

簡単なあらすじ

世間体を気にする両親や、富や名声に執着する社会に嫌気が差した青年クリスが大学卒業を機に旅に出る物語。行ってしまえばロードムービーなのだが、少し違うのが彼の旅行の最終目的地がアラスカであること。人間社会から断絶された大自然のアラスカで一人で生き抜くことを心に決める。

どんな生き方を選ぶか

本作は、自伝を映画化した、実話である。このような生き方を決断した青年がいたこと、そして、彼がなんと自身と年齢が変わらなかったことに衝撃を受けた。

この作品を通じて、自分の在り方について考えさせられた。

・お金や名誉に対する執着心があまりないこと
・でも世間からの目には縛られてしまう自分がいること
・自分が何を望んでいるのか、本当の自分が見えなくなっていること

このような悩みを抱えているのは私だけではないと思う。誰もが自分らしく生きたいと思いながら、そうはできないまま社会で悶々としながら生きているのではないだろうか。ディズニー作品のアナと雪の女王やその劇中歌である"Let It Go"がヒットするのも頷ける。多くの人は自分らしさを模索しており、そんな自分らしさを受け入れてくれる居場所を求めている。

その居場所がクリスにとってはアラスカの大自然だったのだろうか?

彼はこんな言葉を残している。

Happiness is only real when shared
喜びは分かち合えてこそ、本物となる。

彼にとって一人でアラスカで暮らすことはどんな意味があったのだろうか。

If there's anything you want in life, reach out and grab it
人生で手に入れたいものがあれば、手を伸ばしてつかみ取れ。

アラスカでの暮らしこそが彼が手を伸ばして手に入れたい生活だったのだろうか。

ロードムービーは人との出会いや別れを通じて主人公が成長したり変化したりするさまが描かれることが多い。本作を通じて、クリスは確実に成長していたと思う。しかし、彼の決断は変わらなかった。俗世から離れ、人のいないアラスカで孤独に生きることを選んだのだ。

そんな結末に私は少し悲しくなった。
世間体を気にするとあらすじではおおざっぱにまとめたが、彼の両親に対する憎しみや嫌悪感の原因はそんな簡単にまとめられるものではなかった。きっと彼の決断は「ありのままで生きたい」という素直な決断以上に、両親への復讐や恨みがあったのではないだろうか。

そうはいっても自然の素晴らしさ、壮大さ、偉大さに息をのむ瞬間がいくつもあった。大自然は間違いなく人の心を豊かにし、感動を与える。そこで生きることを選んだクリスの気持ちを理解できるというのは、なんだか暴力的な気がするが、共感できる部分がある人は多いのではないだろうか。

赦しと愛

この作品では、キリストの「人を赦すこと」の大切さが語られるシーンがある。キリスト教では、赦すことが基本理念になっている。人間が背負う罪の赦しのために死んでいったイエス・キリストが神とされている。
そして、もう一つキリスト教で大事な理念が「愛」だ。誰かを赦すためには、慈悲の心と愛が不可欠であると思う。

両親を許すことができず苦しんだクリスに想いを馳せながら、愛するということについて学びたいと思った。次に手に取りたい本が決まった。





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