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#5 理不尽に長い信号、暴力的に遅いエスカレーター

 私はステレオタイプ通りの東京人で、せっかちである。先日は栗の渋皮煮のレシピを調べたが、半日以上かかると知って即、サイトを閉じた。

 せっかち人間として生活する中で、特定の場所で異常にイラだっていることに気づいた。私だけでは無いだろう。東京にはせっかちな東京人の気を狂わせるような長い信号と遅いエスカレーターがある。


 1つは渋谷西武前の信号である。ここは、渋谷に行く人なら「うわあれね!」となって頂いてるはずだ。5mぐらいしかない道幅なのに信号機があるのも癪だし、だいぶ長いのである。長いというか、実際の長さは知らないが距離がめっちゃ短いくせに割りに合わない。

 早くPARCOに行きたいよー!という私と同じ気持ちの人は、一回そこを曲がってスペイン坂を通ってPARCOの裏口から入ると良い。


 もう1つのイライラポイントである水道橋交差点の信号は、赤信号が超長い上に青信号が超短い。都内の信号機の動作をまとめているサイトによれば、ここでは歩行者は2分待たされ30秒しか渡る時間が与えられない。

 標準的には赤信号と青信号はどちらも1分前後らしいので、水道橋交差点の異常さがわかる。交通整理のために必要な長さとはわかっていながら、しびれを切らした東京人が何人も信号が変わる前にフライングしている。

 ちなみにJR水道橋駅の反対側の信号は、車がかわいそうになるぐらい歩行者の青信号が長い。歩行者7対車両3ぐらいな気がする。


 最後に、巣鴨出身の私にとって最も身近なせっかち爆発ポイントは巣鴨の西友のエスカレーターである。

 エスカレーターで歩いてはいけない。エスカレーターの事故の動画も見たことがあるので歩こうとは思わないが、巣鴨の西友では歩きたい欲を抑えるのに必死になる。

 巣鴨はおばあちゃんの原宿という異名の通り高齢者が非常に多いため、彼らに合わせたスピードであることは間違いない。しかし、ここまで遅いエスカレーターは見たことない。「え、動いてるよね?」と言いたくなる。

 ちなみに、経験上最速のエスカレーターはシンガポールの地下鉄である。あそこも大都会だからせっかちな人に合わせたスピードだと思う。ちょっと乗れるか心配になるぐらい速いが、世界のエスカレーター全部これがいい。


 ここまで、せっかち人間が東京の待ち時間長い名所をご案内した。ぐちを書くつもりだったのに、だんだん面白くなってきてしまった。信号やエスカレーターに注目する生活が始まった。

 都心にいながら心の余裕を持つのは至難の技かもしれない。時間通りに動くことを強要されるし、効率的にできたシステムがより私たちを急がせる。なんで急いでいるのかわからないし、自分が急いでいるということすら気がつかない。

 東京人の気を狂わせるために開発されたと思われた長い信号やエスカレーターは、実はせかせかしても仕方ないから一時停止してみなさいと助言してくれていたのかもしれない。




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