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おわりに向かって、毎日毎日生きてゆく ― 『ひとりでカラカサさしてゆく』 江國香織 著

「生きる」という行為において、自分ではじまりを選ぶことはできない。そして、おわりも選べない、はずだ。

はじまった人に、全員もれなく平等に訪れる、おわり。人によっては、だいたいの時期が分かったり、突然だったりすることはあるが、おわりはあちらからやってくるものであって、自分で選ぶことはできない、はずだ。

その考えで生きているから、猟銃で自ら命を絶った老人3人の物語、というあらすじに衝撃を受けた。どんなにショッキングな内容が書かれているのだろうか、とすこしおびえながら本を開いた。


『ひとりでカラカサさしてゆく』江國香織/著


大晦日の夜、ホテルに集った篠田完爾、重森勉、宮下知佐子の八十代三人。若い頃からの仲である彼らは、酒を片手に尽きない思い出話に耽り、それから、猟銃で命を絶った――。まさか、一体、なぜ。突拍子もない死を突き付けられた子や孫、友人たちの日常や記憶が交ざり合い、故人の生涯も浮かび上がっていく。人生に訪れる、いくつもの喪失と誇るべき終焉、そして前進を描く、胸に迫る物語。

新潮社HPより

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