「肉より野菜のほうが栄養成分が格段に多く健康にいい」の嘘
【植物性食品と動物性食品の栄養成分の比較(500キロカロリー当たり)】
栄養成分 植物性食品 動物性食品
コレステロール(mg) ── 137
脂肪(g) 4 36
タンパク質(g) 33 34
βカロテン(mcg) 29919 17
食物繊維(g) 31 ──
ビタミンC(mg) 293 4
葉酸(mcg) 1168 19
ビタミンE(mg a-TE) 11 0.5
鉄(mg) 20 2
マグネシウム(mg) 548 51
カルシウム(mg) 545 252
コリン・キャンベル/トーマス・キャンベル〈チャイナ・スタディー〉より
✔️【真相〈コレステロールと脂肪は体にいい〉】
ヴィーガン派のドヤ顔が目に浮かんできそうですが、勘違いもはなはだしいと言わざるをえません。
一般的に体に悪いイメージがあるコレステロールと脂肪なのですが、「コレステロールと動物性脂肪を減らしたら死亡率が上がる」という研究があるんです。
それは1200人の男性を15年間追跡調査したヘルシンキ・ビジネスマン研究というもので、「飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を減らし、マーガリン、魚、鶏肉の摂取を増やす」という食事指導を受けたグループはなにもしないグループより、総死亡が1.4倍、心筋梗塞による死亡率も2.4倍増えたそうです。
コレステロールと脂肪に関してはほかにも似たような研究が多くあるので、興味がある方は自分で調べてみてください。
コリン・キャンベルは「野菜より肉のほうがコレステロールが多い。だから野菜のほうが健康にいいのだ!」ということを言いたいのでしょうが、事実はまったくの逆。
肉のほうがコレステロールが多い?脂肪が多い?だからなんなのでしょうか?
コレステロールも脂肪も健康にいいものなのですから、すばらしいことではないですか(笑)。
【ビタミンCの暗い側面】
次に健康にいいイメージがあるビタミンC。
キャンベルの表によると、293対4で植物性食品の圧勝となっています。
が、あまり知られていないのですが、1日に必要なビタミンCは10ミリグラムくらいでよく、逆にとりすぎると腎結石、胃酸の逆流、ビタミンB12欠乏症、酸化ストレスの増加など、人体に有害になってしまうのです(【Reviews in urology.2004】【Springer Science&Business Media.2012】)。
【タンパク質】
次にタンパク質。
キャンベルの表ではほぼ互角ですが、「吸収率」というものが無視されています。
消化性必須アミノ酸スコアという評価方法があるのですが、これによってタンパク質の含有量だけでなく、タンパク質がどれだけ体内に吸収されるかがわかるそうです。
吸収率が高い順に並べると以下のようになります。
1.13──牛肉、卵
0.991──豚肉
0.937──魚
0.595──米
0.588──インゲン豆
6位にやっとインゲン豆が出てるくるにすぎません。
これで植物性食品と動物性食品のタンパク質が、互角などではまったくないことがわかると思います。
「吸収率」と言えば鉄にも似たようなデータがあり、ポール・サラディノによると1位が20%のステーキで、植物性食品は大豆の4位が最高です。ちなみに吸収率は7%にすぎません。
【ビタミンD】
ところでキャンベルによると、ビタミンB12やビタミンDも植物性食品に多く含まれているそうなのですが、なぜそう言えるのか、根拠は〈チャイナ・スタディー〉には一切書かれていませんでした……。
ちなみにビタミンDは溝口徹医師によると、サケ、イワシ、キクラゲ、イクラなどに多く含まれているそうです。
【ビタミンK2】
動物性食品にはあって植物性食品にはないビタミンと言えば、ビタミンK2もあげられます。
ビタミンK2が不足すると冠動脈性心疾患の死亡率が高まり、ビタミンK2を多く摂取すると大動脈弁高度石炭化の度合いが低下することが、ロッテルダム研究という疫学調査で明らかになっています(The Journal of Nutrition.2004)。
サラディノによるとレバーや卵を少し食べるだけで、充分な量のビタミンK2をとれるそうです。
【コリン】
最後にもう1つ。
動物性食品にあって植物性食品にない栄養成分に、コリン、クレアチン、カルニチンといったものもあるのです。
ほかの記事にも書きましたが、コリンが欠乏すると心疾患を起こし、妊娠中の女性にいたっては神経管欠損症や胎児の脳の発達不足につながると言われています。
【クレアチン】
また、人間の知能と体力を向上させる魔法のような物質にクレアチンというものがあり、45人のベジタリアンを対象にした研究では、知的能力の大幅な向上が見られたそうです(Biological Science.2003)。
【カルニチン】
また、脂肪をエネルギーとして使ってくれるカルニチンという物質もあります。
脂肪をエネルギーとして使うケトン体ができ、長寿遺伝子のスイッチを入れたり、ミトコンドリア機能を向上させてくれます。
これらの物質は野菜にはまったくないか、ごくわずかしか含まれていないのです。
これでも動物性食品が健康に悪いなどと果たして言えるのでしょうか?
ちなみに食物繊維の真相については、前の記事で説明したとおりです。
【まとめ】
●コリン・キャンベルは野菜の都合のいい話のみを語り、肉の都合の悪い話をオール無視している。
日本の国民病の1つである糖尿病。しかし標準治療は大変危険なものなのです。糖質制限による治療をぜひご検討ください。