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賃貸住み替えで家賃重複を減らしたい方に仲介ができること


賃貸住み替えで家賃の重複が発生する理由

こんにちは。不動産屋の松野まきです。

宅建士2人の夫婦で経営している不動産会社が綴るnoteです。
フレキシブルで細やかなサービスと、期待を超える価値をお届けする事を心がけ、信頼できる不動産のパートナーを目指しています。

いつでもお気軽にご相談ください!

賃貸のお引越しでは、家賃の重複はなかなか避けられません。
今住んでいる住居と次の住居の家賃を、両方支払わなければならない期間が発生することが一般的です。

重複する理由①解約届の提出期限

なぜ家賃の重複が発生するかというと、賃貸マンションの解約届の提出期限が契約によって定められているから。
実際に住んでいても住んでいなくても、その期間中は家賃を支払わないとなりません。
稀に1か月前なこともありますが、最近はこの期間は2か月前予告が一般的になっています。
(解約届の提出期限は契約書に記載されています。)


じゃあ次に住む物件を退去の2か月前に決めて、重複しないようにうまく切り替えられるのでは?と思うかもしれませんが、そうはいかないのです。

重複する理由②申し込みから契約開始日までの期間

一般的に、物件の入居申し込みをしてから実際に契約が開始となる期間は、長くても申し込みから4週間ほどです。
現住居の退去になる2か月先までは、ほぼどんな物件でも待ってくれません。

重複する理由③解約届を出すタイミング

賃貸仲介の現場で非常に重要なのが、解約届を出すタイミングです。
このタイミングをどうするかは、家賃の重複を避けるための鍵となります。

A.次の部屋が決まってから解約届を提出する
B.先に解約届を提出してから次の部屋を探し始める

これを決めないといけません

家賃の重複を極力無くすという事であれば、Bの方が良いでしょう。
退去の1か月前頃になって動き出したら、申し込みから4週間後に入居でバッチリ切り替えられるので。
でも実際はAを選択される方が圧倒的に多いんです。

もし、うまく切り替えられなかった時や、物件が見つからなかった時、住む家が無くなってしまうからです。
(実際には、数日程度なら退去を待ってもらえるケースもあります。とはいえリスクが高いです)

一人暮らしで実家が近い場合などは、数日住居が無くても何とかなるかと思う方も居ますが、家族が居たり、家具が多いとそうはいきません。
それにせっかくの引越しの機会に、妥協したくないという気持ちも働きます。
物件探しは運とタイミングも大きく影響するので、見つからなかった場合に妥協して決めないといけないというのは避けたいですよね。

解約予告2か月前の背景

退去予告に関しては、正直なところ2か月前は早いなあと個人的には思います。
貸主サイドはその期間に募集活動ができますが、実際にお部屋を内見できるわけではありませんので、結局崩れてしまう場合も多いからです。

それに一般的には、募集期間中に「申し込みが入っている物件」という状態になると、他の検討者の心理に影響を及ぼします。
「すでに誰かに決まる可能性が高い物件」と見なされて、候補から外されることが多いのです。
そのため、内覧後に申し込みがキャンセルされた場合、それまでの間に他の入居希望者を逃してしまっていた可能性があります。

それに、募集期間が長引くことで、事情を知らない一般の方から「この物件、ずっと空いているけど人気がないのでは?」といったネガティブな印象を持たれるリスクもあります。

とは言え、貸主サイドの「早く入居して欲しい・空室期間を作りたくない」という気持ちも尊重されるべきです。
申し込みから契約開始日までの期間を必要以上に伸ばせないのも、こういった理由があります。

仲介としてできること

仲介業は貸主・借主の双方の間に立ち、滞りなく取引を成立させることです。
借主と貸主ではそれぞれ異なる事情やニーズがあるため、双方のバランスを取ることが求められます。

まずはお客様に現状のルールの背景を丁寧に説明することを心がけています。
「なぜ2か月前予告が必要なのか」「貸主がなぜこの期間を必要としているのか」を借主にわかりやすく説明し、貸主サイドの存在とその意思を認識していただきたいと考えています。

業界の慣例と一言で言ってしまえばそれはそうなのですが、
物件の向こう側には、貸主という意思を持った存在がいることを、借主の方に改めて理解していただけるきっかけを作ることが、私たちにできる役割ではないかと考えています。

貸主も物件の管理や収益を守るために、退去予告や空室期間をどうするか真剣に考えています。
この背景を丁寧に説明することで、借主が単に「ルールだから仕方がない」と受け止めるのではなく、貸主の事情も理解してもらえるよう努めています。

その上で、お客様の気持ちをしっかりとヒアリングしながら、解約届を出すタイミングや今後のお部屋探しのスケジュールを一緒に決めていきます。

特に、お引越しに慣れていない方や、前回の引越しから時間が経っている方の場合、忘れてしまっていたり、ふんわりとしていることもあります。
そのため、この擦り合わせは非常に重要なステップとなります。

特殊な事情がある場合は、貸主サイドと相談し、次の物件の契約タイミングについて調整できないか交渉することもあります。
(反対に、今住んでいる住居の退去予告を縮める交渉はできません。もう既にその条件で契約しているからです。)

結び

賃貸仲介の現場位に居ると、不動産業者とそうでない一般の方の認識に大きな乖離がある場面に良く直面します。
そのうちの一つが、この「家賃重複」について。
申し込みから契約開始日までの期間を知らずに、引越しの半年前から内覧したいという方も多くいらっしゃいます。

不動産業界の慣例は、時に一般の方には優しくなく映るかもしれません。
それには色々な理由があるのでここでは言及しませんが、一般の方も納得できる説明を受ければ、そのルールや仕組みに「腹落ち」しやすくなります。

そしてその経験を通じて、不動産取引や不動産業界に対して不安や不満、戸惑いを解消し、より安心して取引に臨めるようになると考えています。

読んでいただきありがとうございます!

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▼この記事を書いた松野まきはこんな人。
・自己紹介/起業した経緯:不動産のバックオフィスから独立開業した話

▼不動産会社(株)バシランド
東京都内の不動産仲介(売買・賃貸)を中心に手掛ける不動産会社です。
不動産エージェントの夫と夫婦で営んでいます。
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