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サブカル大蔵経 異国編

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#サハリン

サブカル大蔵経671池田邦彦/津久田重吾(監修協力)『国境のエミーリャ』①〜③(小学館)

サブカル大蔵経671池田邦彦/津久田重吾(監修協力)『国境のエミーリャ』①〜③(小学館)



ユジノサハリンスク市街(2018年4月撮影)

サハリンを訪れてから、北海道とサハリンのパラレルワールドをよく考えます。北海道が今のサハリンみたいになっていたかもしれないし、サハリンが今の北海道のようになっていたかもしれません。その時は、北海道は単なる中継地点。

終戦前後の米ソのやりとりの中で、北海道が分割されて北半分がロシア領土になっていたら、私の住む旭川はどちらの国になっても国境最前線の

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サブカル大蔵経586大沼保昭『サハリン棄民』(中公新書)

サブカル大蔵経586大沼保昭『サハリン棄民』(中公新書)

サハリンは、北海道のさらに北に位置する島であり、元日本。ギリヤーク、アイヌ、和人、ロシア人、囚人が入れ替わりうつろう土地。そして今住んでいる民族で、ロシア人の次に多いのが韓国人。なぜか。

1990年のサハリン空港。ごった返す朝鮮人、半世紀ぶりの帰国。韓国へのチャーター機。置き去りにした日本への恨み。出国を認めなかったソ連への憤り。自分たちを忘れ去った祖国韓国への苦い感情。p.3

日本・ロシア・

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サブカル大蔵経516下川裕治/中田浩資写真『不思議列車がアジアを走る』(双葉文庫)

サブカル大蔵経516下川裕治/中田浩資写真『不思議列車がアジアを走る』(双葉文庫)

中田浩資さんの写真が素晴らしすぎます。双葉文庫随一の贅沢・下川裕治シリーズ。

インドネシア、ウイグル自治区、台湾、タイ、韓国、サハリンの鈍行列車を乗る旅。

長旅でない分、他の著作に比べるとスケールやロマンは落ちるかもしれませんが、漂う情緒は、下川本随一だと感じました。

〈ドアにきをつけてね!〉その横に、ランニングシャツを着た猫のようなイラストがある。胸にはポケットもついている。そうなのだ。年

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サブカル大蔵経95井上美香『北海道歴史ワンダーランド』(言視舎)

サブカル大蔵経95井上美香『北海道歴史ワンダーランド』(言視舎)

 国際地図で最後まで確定されなかった島、北海道。しかし今は日本の普通の地。住んでいる私も特段北海道に住んでいることを意識していない。本書はさまざまな角度から北海道人の常識に穴をあける。穴から何が見えるのか。懐かしい鷲田小弥太教授の弟子の著作。

あるときは地球儀の視野、あるときは日本。内地からの視点で。p.6

 地図もひっくり返して見ると、北海道は日本よりロシアや中国大陸に近い雰囲気。

松前藩

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サブカル大蔵経200ビートたけし『佐竹君からの手紙 サハリン篇』(太田出版)

サブカル大蔵経200ビートたけし『佐竹君からの手紙 サハリン篇』(太田出版)

サハリンを枕にたけしへの貴重なイジリをぶち込んでくる。佐竹チョイナチョイナの怪作。軍団の殿イジりはタブーかと思いきや、たけし名義の本だからなのか、ここまでイジりが許容されていたとは。

バイク事故で転んでもただでは起きず、顔面麻痺で印税を稼いだ殿を見習って、私も一挙両得を狙いたいと思います。p.5

そう考えると、去年の8月のバイク事故も、袋小路を突破するための殿の大博打だったようにも思います。p

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サブカル大蔵経213 嵐よういち『おそロシアに行ってきた!』(彩図社)

サブカル大蔵経213 嵐よういち『おそロシアに行ってきた!』(彩図社)

 嵐よういちさんは、毒づいたこと書くけど、やさしい。独りよがりでない真摯な感じがします。

 アメリカでもアジアでもヨーロッパでもない国、ロシア。広い。中でも、昨年訪れたサハリンの記事が嬉しかったです。

ロシアの女性は一度怒り出すと、なかなか沈静化しない。p.18

 なんとなく、わかります。

ウラジオの人曰く、サハリン ?あんな何もないところに何しに行くの?p.38

 大陸と島の関係性。サ

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