見出し画像

AGE…健康寿命を縮める老化物質の正体


「肌にハリがなくなった」、「疲れが抜けなくなってきた」、「何事もやる気が出ない」…
そんな老化の原因にAGE(エージーイー)という物質が関係していることをご存じですか?
このAGEをできるだけ減らすことで、老化のスピードを抑えられるというのです。

AGEは体の焦げつき(糖化)の成れの果て

人間の体は「たんぱく質」でできていて、適材適所で機能して健康が維持されますが、歳をとるにつれて劣化します。
それに関係しているのがAGE(Advanced Glycation End Products)です。
AGEは「たんぱく質」に「糖」がこびりついて、体温で温められて焦げつく(糖化)ことでできる物質の総称です。
糖も、体にとって欠かせないエネルギー源です。
しかし、とりすぎて血液中に余ってしまうと、たんぱく質と糖が結びついてAGEとなってしまいます。
また、AGEをたくさん含んだ食べ物を口からとり込むことでも、AGEが溜まっていくのです。

「酸化(サビ)」と「糖化(コゲ)」が老化のスパイラルを引き起こす

老化というと、「酸化」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
酸化は、体内に入った酸素から発生した活性酸素が、細胞を傷つけることで起きる現象。いわば“サビ”です。このサビを引き起こす「活性酸素」を無毒化するのが「抗酸化酵素」と呼ばれるものです。
その「抗酸化酵素」は、タンパク質からできています。したがって、これらが糖化しAGE化していくと、本来の力を発揮できなくなり酸化が進んでしまうのです。
一方で、酸化によって糖化が進むこともわかっています。つまり、サビが進めばコゲも進み、コゲが進めばサビも進むということ。酸化と糖化は老化のスパイラルを作り出してしまうのだといえます。

シワ・たるみ・シミを作り出り薄毛の原因にも!

肌のハリを保っているのは、主に「コラーゲン」というたんぱく質です。
皮膚のコラーゲンもAGE化するとごわごわのゴムのようになってしまい、シワやたるみの原因になります。紫外線は、AGEを肌に溜まりやすくします。
しかもAGEは髪をつくる細胞にも影響し、女性によく見られる頭頂部の薄毛に関係していると考えられています。

AGEは健康寿命を縮める

AGEが増えていくと体内のたんぱく質の機能が落ちていき、さまざまな病気が引き起こされます。
糖尿病やがんの発症にもAGEが深く関係していることがわかっていますし、AGEが溜まると骨や関節がボロボロになってしまうことも知られています。
認知症や歯周病、白内障、不妊症など、多くの老年病にAGEが関与しています。
老化を加速させる「高AGE食品」はどれだ?
 
AGEの溜まり具合は、食習慣や生活習慣の違いで大きく変わっていきます。だとしたら、すぐにでも効果的なAGE対策をしていきたいものです。AGEを減らすための具体的な方法について説明していきます。

AGE摂取の1日許容量は「1万5000 exAGE」

食べものからとりこむAGEの量は、できる限り1日の許容範囲内に抑えておきたいところです。食事から入ってくるAGEを数値化した「exAGE」でいうとその目安は、1万5000 exAGEです。

肉は部位によってAGE量が違う

肉には、糖とたんぱく質をくっつきやすくする脂質も含まれているため、調理するとAGE量が多くなります。
意外に多いのが焼き肉で人気の牛タンです。
また、挽き肉も多めです。
肉をマリネしたり、脂身を除いたりしてから調理すると、AGEを抑えることができます。

魚にもAGEが

魚も肉と同様、脂がのった魚や部位は、AGE量が高くなります。
刺身や蒸し物、煮物にするのが、AGEを増やさないコツ。
いくらなどの魚卵も少し高めですので、たくさんの量を食べないようにしましょう。
イカ、カニ、エビは、比較的AGE量が少なめです。

ベーコン、ソーセージ、ハムには要注意

加工食品は、保存がきくように製造過程で水分などをとり除くため、たんぱく質と糖がくっつきやすくAGE化が進みます。
さらに砂糖などを使っているため、AGE量は増えます。
肉を原料としているベーコン、ソーセージ、ハムは要注意です。
特にベーコンは、たった30gで4039 exAGEと驚きの数値です。

フルーツのAGE量は?

フルーツは甘いほど糖度が高く、AGEは増えますが、その量は多くはありません。
ただし果物の糖分は果糖といい、ブドウ糖よりも体内でAGE化するスピードが速い糖を多く含んでいます。
フルーツはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富ですから、食べ過ぎに注意してうまくとり入れるようにしましょう。

“濃縮還元“に要注意!

野菜ジュースやフルーツジュースは意外にも、高AGE食品です。生のフレッシュジュースならよいのですが、濃縮還元という方法で作られているものは、たとえ100%果汁でも要注意です。
果汁に熱を加えて濃縮していますのでAGEが多く含まれます。
また、濃縮している分、糖が多いうえに製造の行程でどうしても食物繊維などの機能性成分が減ってしまいます。

毎日毎日、AGEの量ばかりに神経を使っていては疲れてしまいますから、もう少しざっくりととらえてコントロールするのが長続きのコツです。
たとえば1週間のトータルでAGE量を調整してみましょう。「今日はベーコンを食べたから、明日はお刺身にしよう」といった具合です。また、調理法を工夫するだけでも、だいぶAGEの量をコントロールできます。

AGEを作り出さない食べ方とは?

老化物質AGEが体の中に溜まると、肌のハリつやがなくなったり、さまざまな病気の原因になったりと厄介な老化現象を引き起こします。そこで気を付けるべきなのが、血糖値の上昇を抑える食べ方の工夫です。

間食は控え、“1日3食”が基本

だらだらと1日中食べ続けると、血糖が高い状態が続いてしまいます。そのため、1日3食をなるべく決まった時間に食べ、間食をしないことがAGEを作り出さない基本です。

食べる順番はベジファーストで

血糖が上がるスピードを抑えるには、食べる順番がキーポイントです。最初に食物繊維(野菜・きのこ・海草類)、次にたんぱく質、最後は炭水化物の順です。
食物繊維を最初に食べることで糖質の吸収が抑えられ、血糖の上昇がゆるやかになります。
【血糖の上昇をゆるやかにする順番】
・食物繊維(野菜・きのこ・海草類)→・たんぱく質(肉・魚・大豆製品)→・炭水化物(ごはん・パン・麺)

食事は一汁三菜がベスト

食べる順番からもわかるように、主食と副菜、汁物を組み合わせた食事、いわゆる一汁三菜が理想的です。
忙しくて、そんなに副菜を用意できないという場合は、ごはんに野菜料理をプラスするだけでもいいでしょう。
丼ものなどの単品メニューは、なるべく控えたいものです。
例えば、カレーライスにはサラダを追加するなど、サイドメニューをつけるようにしましょう。
また、一汁三菜を手軽にとるには鍋料理がおすすめです。
具材次第で野菜などの食物繊維やお肉などのたんぱく質もとれますし、シメにご飯や麺を入れれば、自然と食べる順番を守ることもできます。

早食い、食べ過ぎはNG

早食いは血糖を急上昇させ、食べ過ぎは余分な糖が血液中にあふれる原因になります。食事は時間をかけてゆっくりと、量は腹八分目を心がけましょう。
【ゆっくりと食べるコツ】
・ひと口に30回を目安によく噛む
・箸置きを用意し、ときどき箸を置くようにする
・お茶を飲みながら(いれたての緑茶などがおすすめ)
・会話を楽しむ

食後には軽い運動を

通常、血糖は食事を食べ始めてから、約75~90分後に最も上がります。
ですから、その前に血液中の糖がエネルギーとして体の中に行き届くよう、体を動かすようにしましょう。そうすれば、余分な糖が血液に残らずAGE化を抑えることができます。
理想的なのは、食事を終えた20分後に、少し汗ばむくらいの運動を20〜30分間することです。掃除などの家事をしてもいいですし、糖をエネルギーに変換することが目的です。

老けない食事をムリなく続けるために

まずは‶気にしながら食べる″こと

食事にいろいろと制約があると、ストレスになってしまいます。
まずは3回に1回でもいいので、AGEを意識して気にしながら食べることが大切です。

ゆっくりと食卓を囲む生活を

週末に1回はゆっくり食卓を囲む時間をとり入れましょう。
会話を楽しみ、時間をかけて食事することでアンチAGEになるだけではなく、家族や仲間とのコミュニケーションもとれます。食事を通して新しい発見があるかもしれません。

老化物質「AGE(エージーイー)」で“老けない”ための生活習慣

紫外線対策はAGEにも有効

紫外線はシワやたるみ、シミなどの原因になることは、誰もがご存じのとおり。
加えて、紫外線には肌のAGEを増やす働きもあるのです。しかも、夏の強い紫外線だけではなく、冬の弱い紫外線を数分間浴びただけで、AGEが増えることがわかっています。
肌にAGEがたまると、紫外線と同じようにシワやたるみ、シミなどを作り出します。この負の相乗効果を防ぐために、冬でも紫外線対策をしっかりと行っていきましょう。

保湿と保護も忘れずに!

食べ物から水分がなくなると、糖とたんぱく質がくっつきやすくなり、AGE化が進みます。
それは肌も同じで、AGE化を防ぐためには保湿が大切です。
保湿後は、油分が入ったクリームを塗るなどして、水分が蒸発しないように肌をカバーすることも忘れずに。

アルコールは適度、タバコは高AGE!

アルコールは、肝臓で代謝されるときに、「アセトアルデヒド」という有害物質を作り出します。
これが吐き気や悪酔いの原因となり、さらにAGEを作り出す作用もあるのです。
タバコは、葉を高温で乾燥させたもので、高AGEなのです。しかも、タバコに含まれるAGEの約7%が体内にとり込まれてしまいます。実際に喫煙者ではAGE値が高いというデータもあります。禁煙をおすすめします。

ストレスもAGEを増やす

AGEは、精神的なストレスが続くことによっても増えていきます。
ストレスを受けると交感神経が高まり、血糖を上げるホルモンが多く分泌されるとともに、血糖を下げるインスリンの働きが抑えられ、糖化が進んでしまうのです。
ストレスをなるべくためないように、リラックスしたり、リフレッシュしたりする時間を作ったりしましょう。
特に睡眠は疲れを癒し、ストレスを解消するために欠かせません。まずは、十分な睡眠をとることが大切です。

体内にAGEはどのくらい溜まっているのか?

目安となるのが、ヘモグロビンA1c。赤血球の中にあるヘモグロビンというタンパク質と糖が結合している割合を表した数値で、糖尿病の指標です。
ヘモグロビンA1cの数値が長期間にわたり高い場合は、AGEが多く溜まっていることが予想されます。
また、血圧の上下差が大きい(例えば140/60mmHg)、関節が硬いなども、AGEが多くたまっているサインです。

大切なのは、将来の自分をイメージすること。自分が選んだ行動のその先に未来の自分がつながっています。歳をとっても若々しく、健康な自分でいるために、できることからAGE対策を始め、老化スピードを抑えましょう。
 

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集