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本の感想

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2020年に読んだ本の感想です。
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2020年1月の記事一覧

非メディアコンシャスの快楽 落合陽一 『魔法の世紀』

(2020年の5冊目)昨年、長年お慕いしている方と食事をした際に話題に出た本。落合陽一ってなんかバズってるけどよくわかんない怪しい人、古市憲寿とかモジャモジャな脳科学者とか、そういう類の人だと思ってたんだけども「研究者としても超一流」だ、と教わって、へー、となっていたのだった。本書が第一著作。半分歴史で半分未来の本、なんだと思う。テクノロジーに曲がりなりにも関わっている身としては示唆が多く楽しめた

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マインドワンダリングからフローへ ラファエル・A・カルヴォ ドリアン・ピーターズ 『ウェルビーイングの設計論: 人がよりよく生きるための情報設計』

(2020年の4冊目)昨年末から少し個人的なキーワードにいれていた「ウェルビーイング(Wellbeing、つまり良い感じで生を保つこと)」に関する本。仕事で少しこの手の領域の話が必要となったので少し優先順位をあげて読んだのだけれどもタイムリーな感じであった。テクノロジー的な領域の本として扱われているのだが、組織マネジメントや人事領域でも学ばれるべきトピックが並んでいると思う。本書ではウェルビーイン

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さすがに時代遅れか 伊丹十三 岸田秀 『哺育器の中の大人: 精神分析講義』

(2020年の3冊目)Amazonを見るとすでに絶版。でも、このまま絶版でも良いかも。もとより精神分析に傾倒して以降の伊丹十三の著作にはそれほど感心があったわけではなく、一昨年、伊丹十三記念館に行った際に「そういや持ってなかったなあ」と買い求め、積みっぱなしにしていたのだった。伊丹十三が岸田秀に精神分析の講義をお願いする、という対談本。

改めて岸田秀のプロフィールを読んでみると、精神分析を専門的

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世界の変化の高速化によってよりリアリティを持つ哲学 カンタン・メイヤスー 『有限性の後で: 偶然性の必然性についての試論』

(2020年の2冊目)「思弁的実在論(Speculative Realism)」のトレンドを打ち出したと言われるフランスの思想家、カンタン・メイヤスーの第一著作であり代表作。翻訳がでたときにずいぶん話題になり、TwitterのTLで頻繁に書名を見た覚えがある。個人的には、ヒュームの哲学について学ぶ必要を感じつつ、というか、以前から言っている「2020年以降にルソーが来る」という予言を「2020年以

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大滝詠一による大滝詠一研究書 『大滝詠一 Talks About Niagara』

(2020年の1冊目)2011年、『A LONG VACATION』の30周年記念リマスターが出る前に出版されていた大滝詠一のインタビューや過去に音楽誌に寄稿した原稿をまとめたもの。インタビューは過去に大滝がてがけた作品のリマスター再発などをきっかけにしたものとなっており、制作時の事情や大滝が楽曲に込めた意味や意図を自身の口から解題するような内容となっている。

70年代初頭の作品やナイアガラ・レ

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