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「sekibang 3.0」というブログを管理しています。http://sekibang.hatenadiary.com 普段はITコンサルティング会社に勤務。たまに哲学書や思想書の編集のお手伝いをして文化的な消費生活を楽しんでいます。

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マガジン

  • (小説)インシデンツ

    とある小説の新人賞に送っていた作品の原稿を掲載しています(全部で150枚ぐらい)。エモーショナルなサラリーマン小説です。全9話。 ※縦書きのPDFなどで読みたい方がいたらご連絡ください。ファイルをお送りいたします。

  • 本の感想

    2020年に読んだ本の感想です。

  • 批評っぽいなにか

    批評っぽいテクストをまとめます。

  • Everything but the Music

    音楽についての覚書

  • 映画の感想

    mstkが観た映画の感想です。子供を寝かせた後などに郊外のショッピングモールに車を走らせて観に行くことを覚えました。

最近の記事

  • 固定された記事

「mstkの読む価値あるプレミアム日記」について

書いている人いろんな名前を使っていますが最近は、mstkというスクリーンネームにしています。現在はITコンサルタントとして勤務しながら、文化的消費活動に勤しんでおります。家族は妻と子供がいて毎日楽しく暮らそうと思っています。 2019年刊行のこの本に寄稿した際には、こんなプロフィールを使っていました。 勉強家。立教大学社会学部社会学科卒業。金融機関などをへて、現在はコンサルティングファームに勤務。音楽や書籍を紹介するブログ『sekibang 3.0』を主宰。科学史・哲

    • インシデンツ(9)

      休暇は残り少なくなっていた。これ以上の調査を進めるには、おじの手帳や井川卓造からの返事を待つ必要がある。待っているあいだに、ぼくは家族で沖縄を旅行した。碧い海や市場に並ぶ濃い色をした魚たちを息子に見せた。まだ沖縄には夏の名残のような空気があった。 羽田に着いた日が、ちょうど新しい会社に入社する三日前だった。ポストには待っていたものはまだ届いていなかった。 スーツケースの荷物を片付けていると電話が鳴った。神田さんからの着信だった。 「あのね、野原ちゃん」 神田さんの声にはいつ

      • インシデンツ(8)

        「ところで、野原さん」とハナホウ・ジローは言った。 「あなたはその依頼主の方の父親が誰かあたりをつけていらっしゃいますか?」 ぼくはハナホウ・ジローから受け取ったメモから目をあげる。 「いえ。ただ、今回の依頼主も韓国にルーツがある方なんです。ですから、テディ金山が父親かもしれないとは勝手に思い込んでいたかもしれません」 「その方は何年生まれですか?」 「ぼくの三つ上と聞いていますから一九八二年ですね」 「だとしたら、父親がテディ金山である可能性は限りなく低いでしょうな」 ハナ

        • インシデンツ(7)

          手始めにハナホウ・ジローにコンタクトする。ひさしぶりに彼のサイトを訪れ、メールアドレスを確認する。「大変ご無沙汰しております。何年か前にご連絡差し上げた野原猪之吉のおいにあたる者です」と声に出しながらタイプする。さる人物の依頼により、ハワイアン・ウェイブスについて調べている。とくにバンド・メンバーの消息についてサイトに書かれている以上の資料や情報があれば提供してほしい。お礼はさせていただく、といった旨のメールを送る さらに国会図書館のデータベースにアクセスし、バンドについて

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        • (小説)インシデンツ
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        記事

          インシデンツ(6)

          翌日になってぼくはリビングのレコード棚から、テディ金山とハワイアン・ウェイブスのシングル盤を取り出した。張本さんと同じようにぼくも薄いビニール袋にいれて保管していた。ジャケットには六人の男が写っている。二人はアロハ・シャツで、残りの四人はスーツ姿だ。スーツ姿のなかにぼくのおじがいて、そして六人のなかには張本さんの父親がいる(かもしれない)。 六人の顔をよく見る。色褪せてやや鮮明さを欠いた六つの顔に、張本さんの顔の痕跡がないか確認する。わからない。張本さんに似た人物はここにはい

          インシデンツ(6)

          インシデンツ(5)

          目を覚ますと、軽い頭痛がし、それにひどく喉が乾いていた。胃腸まわりにも不快感がある。息子はもう起き出してリビングに置いてあるブロックの箱を乱暴にかき回している。「父ちゃん、ソファで眠ったの?」と息子が言う。その口調には、いけないことをたしなめるようなトーンが含まれている。水道の水を勢いよく三杯飲み、そして、いつものルーティンをこなしていく。身体を動かしているうちに頭痛はほとんど気にならなくなった。 息子を保育園に送って家に戻ってくると神田さんからメールが届いていた。 ひと

          インシデンツ(5)

          インシデンツ(4)

          テスラの運転席にはだれも座っていなかった。街灯の光が本来人を収めているはずのシートだけを照らしている。無人の車内空間。空虚。〈他者〉の不在。ラカン。 「え、なんか、すごいんですけど」と思わず口調が乱れた。ぼくは張本さんの顔を見た。にやけた表情がそこにはあった。いたずらが上手くいったときの少し照れた顔だ。 「自動運転です」と張本さんは言った。「オフィスの地下駐車場からここまでアプリで呼べるんです。宛先を設定したらハンドルを握らなくても自動で連れていってくれるので便利ですよ」

          インシデンツ(4)

          インシデンツ(3)

          ある日の午後、ぼくが冷凍パスタをレンジで温めながら、ブルックナーの交響曲第八番を聴いていると電話がかかってきた。ちょうど四楽章のオーケストラ全体が強烈な推進力をもって前進するような楽想の箇所だ。野蛮さと荘厳さが共存した音楽に、電子レンジの低い唸り声とiPhoneの着信音が入り混じり、音響的な混沌がキッチンに訪れる。ブルックナーを一時停止して電話に出る。 画面には神田さんの名前が表示されていた。 「こないだは、おつかれさま。無事リリースできて良かったよ」と神田さんは言った。 「

          インシデンツ(3)

          インシデンツ(2)

          季節は春から夏になっていた。次のクライアントも保険会社だった。ぼくはこの夏のことを生涯忘れることはないだろう。 この現場でぼくの残業時間は、月に一五〇時間を超過した。しかも三ヶ月連続で。過労死ラインを大きく超える大ジャンプを連続三回だ。スキージャンプの原田選手が僕のジャンプを見たら感動して涙を流し、目の下に巨大なつららを作ってしまうだろう。そして、船木の代わりにぼくの名前を泣き叫ぶのだ。 医療保険の請求をする際に提出する書類をインターネット経由で提出できるようにする。そのため

          インシデンツ(2)

          インシデンツ(1)

          毎日同じ時間、同じスーパーに買い物にいくと、おそらくはぼくと同じように規則的な生活リズムに従って暮らしている人たちなのだろうけれど、そこで見かける赤の他人もなんとなく顔見知り風に思えてくる。店内にいる圧倒的なマジョリティは中年から高齢にかけての女性で、男性はといえば、すでに仕事をリタイアしている高齢者(彼らは自ら主体的にスーパーに赴いているわけではない。妻の付随物のようにそこに存在している)か、時間の自由が効く職業についていそうな風体の人物だ。 彼ら自由業者たちの代表として最

          インシデンツ(1)

          mstkの読む価値あるプレミアム日記読者の皆様へ

          1年間のご購読ありがとうございました。さきほどnoteから定期マガジンの解除がなされたという通知がありまして、12月30日分をもってnote上での日記連載は終了とさせていただきます。続きは、はてなブログのほうで書いていきますので引き続きよろしくお願いいたします。

          mstkの読む価値あるプレミアム日記読者の皆様へ

          2020年12月30日、あるいは満月

          起床2020年に読んだ本を振り返っていたら日付が変わっていた。6時半ごろ起床。

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          2020年12月30日、あるいは満月

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          2020年12月29日、あるいは年末の市場

          起床7時過ぎ。まだかなり喉が痛い。朝食。その後、筋トレ。肩、腹筋。

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          2020年12月29日、あるいは年末の市場

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          2020年12月28日、あるいはポケモン映画

          起床映画の感想を書いて寝る。7時半ごろ起きる。喉が痛い。

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          2020年12月28日、あるいはポケモン映画

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          2020年12月27日、あるいはポッドキャスト

          起床映画の感想を書いてたら、Amazon Primeに「ウォッチパーティ」なる機能が追加されていることに気づく。映画をみながら友達とチャットできる機能らしい。面白そう。7時半過ぎまで寝る。起きてすぐに溜まっていた段ボールを捨てた。

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          2020年12月27日、あるいはポッドキャスト

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          2020年12月26日、あるいはサンタ

          起床日付が変わるまでMさんと昔の職場に関するLINEをしてよくわからない立場から物を申す。6時半。枕元のおもちゃに気づいたHに起こされる。

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          2020年12月26日、あるいはサンタ

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