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[理系による「ファッション」考察] "ブルックスブラザーズのシャツ(赤タグ)"の魅力

よーやくシャツが着れる季節になりました(今年の夏は長かった…)。

"シャツ"というファッションアイテムはシンプルな分、なかなか奥深いアイテムであり、以前コムデギャルソンシャツの魅力に関する考察を行いました。

今回は、IVYのド定番ブルックスブラザーズのシャツに関してなのですが、このアイテムに関して語る前に、シャツを着てお洒落になる、ことを自体を改めて考える必要があります。というのも、シャツ自体がとてもシンプルなアイテムのため、何も考えず羽織るだけだとお洒落になりません。

よって、お洒落になるためのシャツを注意深く選ぶ必要があるのですが、お洒落となる必要条件としては、シャツ自体に強い特徴がある、になります。

この、シャツ自体に強い特徴がある、ですが、コムデギャルソンシャツなら分かりやすいですが、ブルックスブラザーズのシャツのどこに特徴があるか?、に関してです。

かという自分も最近気づいたのですが、その前にクロニクルから。

ブルックスブラザーズのシャツに限定されるわけではないですが、我々世代がボタンダウンシャツをお洒落アイテムと認知したのは、フリッパーズ・ギター時代の小山田圭吾(現コーネリアス)がからだと思います。

で、ボタンダウンシャツといばブルックスブラザーズなので、当然自身もマネするため店舗に赴いて試着するわけですが、
あれ?似合わない…
となりました(同じことを感じた方も多いのでは)。

そこで、似合わない理由を自分なりに分析するのですが、曇りなき眼で見て、そもそも小山田圭吾は本当にお洒落なのか?、と自問自答するわけです。具体的には、ボタンダウンシャツを着ている小山田圭吾の写真にて、小山田圭吾の顔だけ隠します。すると驚くことにあれほどお洒落だった小山田圭吾が、単にシャツとパンツを着ている普通の人、になるのです…。そこで自身が出した結論は、あの顔から認識されるミュージシャンというバックグランドを合わせて見ないとお洒落にならない!、でした。

というわけで、一般人には無理!、と分かり、ブルックスブラザーズというブランド自体が自身からout of scopeとなりました。というか、なぜあのブランドがそんなに長く存在しているのかさっぱり分からないまま年月は過ぎ、30過ぎになりました。

そのころになると、ファッション界に事件が起こります。トム・ブラウンです!具体的に、トム・ブラウンがトラッドな服を再定義してファッション界に大きな衝撃が走るとともに、トラッド回帰現象が巻き起こるのです!

当然自身もその現象に興奮し、ボタンダウンシャツを購入します(ただしブルックスブラザーズではない)。ここで、ボタンダウンシャツという存在の素晴らしさに気付くわけですが、単に襟にボタンをつけただけなのに、襟がひらひらしないだけでなく大人っぽく見える!、という大発明に驚愕するわけです。

で、どうやらボタンダウンシャツを発明したのはブルックスブラザーズらしい、ということを学び、トム・ブラウンがブルックスブラザーズのブラックフリースを担当したことも踏まえて、ブルックスブラザーズを大いに見直し、再度チャレンジするのですが、やっぱり似合わない…。
サイズが大きすぎるのです…。

で、40代になりました。このぐらいから古い映画を見るようなるのですが、どうもその時代の俳優さんは大きめのサイズのシャツやスーツを非常にオシャレに着こなしているのですが、そもそも骨格が違うことは認識しつつも、それに憧れて再々度チャレンジすると、
あれ、思ったより似合うぞ!
と自分でも不思議な気持ちで一杯になりました。

ここで再び分析が始まるわけですが、オーバーサイズの流行り、は要因としてあると思いますが、トラッドな着こなしが年を取るごとにできるようになった(似合うようになった)、が大きな要因と思われます。

(夫(自身、着画)) ブルックスブラザーズのシャツによるIVYコーデ

で、前フリが非常に長くなってしまったのですが、ここからがブルックスブラザーズのシャツ(赤タブ)の魅力とお洒落となる特徴は何か、の考察になります。

結論としては、下記を同時に備えている稀有なファッションアイテムであることが魅力になります。
・男らしさ
・リラックス感
・ちゃんとしてる感
・機能性

個別に説明していきます。

・男らしさ
まず、特徴としては、オーバーサイズ、が挙げられます。ただし、単に大きいというわけではなく、肩幅と身幅が一般のシャツより少し大きい程度です。もう少し詳細を説明すると、肩幅はそれほど大きいわけではないので、ドロップショルダーにはなりません。どちらかというといかり肩に見えるパターンであり、それなりに男らしさが出ます。また、身幅も大きいですが、手首周りは普通の長さのため、腕部分のパターンは、手首に向かって急激に絞るフォルムになります。そのフォルムが普通のシャツでは出ないしわを出し、よいアクセントになります。つまり、シャツ自体が男らしさを強調する中で、他のシャツでは出ないしわが腕部分に出て、全体として良いアクセントになる、が魅力の1つになります。

(夫(自身)、着画) 腕部分にできるしわが、良いアクセントとなる

・リラックス感
さらに、オーバーサイズ気味なので、ウエストも当然大きいです。ここもポイントの1つで、シャツをインしてベルトで締めると、背中に良いふくらみができます。このふくらみがとてもよいリラックス感を出し、男らしさ+リラックス感、という相反する要素が共存することにより、こなれた感+大人っぽさ、を演出してくれることも魅力になります。

(夫(自身)、着画) 背中に良いふくらみができ、リラックス感がでる

・ちゃんとしてる感
次に、首回りですが、ここはオーバーサイズになっていません。よって、襟は大きすぎず、首元は綺麗に見えるようになっています。特に襟をボタンで固定することによってできるロールの形は秀逸であり、膨らみ過ぎもせず、ぺったりと平面的にもなっておらず、非常によい塩梅になるように設計されており、ちゃんとしてる感が出ます。

(夫(自身)、着画) 首元にちゃんとしてる感が出る

つまり、男らしさ・リラックス感・ちゃんとしてる感、の相反する要素をうまく共存させることに成功し、大人ならではの懐の深さを演出するという、かなり高度なことをやってのけているファッションアイテムがこのシャツの特徴であり魅力になります。

・機能性
最後に、このシャツは機能的にもとてもすぐれており、オーバーサイズ気味のため動きやすく、肩が全く凝りません(年を取るとタイトなシャツは肩が凝る…)。また、生地と地肌の間に空気のふくらみを作ってくれるため、何より涼しく、袖をまくれば夏でも着れてしまいます!

総じて、ブルックスブラザーズのシャツ(赤タブ)は、ファッション的な演出だけでなく、機能性も備えている、もはや稀有すぎる存在であり、それがこれほど長く男性から愛されるファッションアイテムである理由であると思われます。

最後に2点ほど、

  • 今回考察したのは、ブルックスブラザーズのシャツの赤タグが付いたものになります。ブルックスブラザーズは他の色のタグが付いたシャツもあるので、それではない点を補足しておきます。

  • 今回考察したのは、メンズファッションとしてのブルックスブラザーズシャツでしたが、実は女性もこのブランドのシャツをお洒落に着ることができます。下記のアニーホールが参考になると思いますが、日本人の体形はやはり西洋人に対して華奢なので、メンズのシャツではなく、キッズのシャツをまずは試してみるのがおススメです(金額的にもリーズナブルですし)。



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