星野智幸 俺俺(新潮文庫)を読んで
今回の作品は星野智幸さんの「俺俺」という作品です。では、抽象的感覚派読書感想文、推薦文を書いていきます!
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大まかな内容は、俺(永野均)はひょんなことから他人の携帯電話を盗むことになります。その電話にかかってくる持ち主の母からの電話。俺は母を安心させる目的で電話に出るのですが、オレオレ詐欺をして金を騙し取ってしまいます。だが、後日その母が俺の自宅に来ます。俺のことを携帯電話の持ち主(檜山大樹)だと思っているのです。そこから俺は大樹といて生き、別の永野均(俺)が現れます。そこからどんどん俺が増えていき、世間が俺だらけになっていくのです。
最初に読み始めた時はイロモノエンタメ小説だと思って読んでました。だが、それは大きな間違いだと読み進めていくうちに気づくのです。これはガッツリ純文学だと。
他人の考えが自分と同じで、何を考えているのか一発で分かります。だが、相手の負の感情までも自分のことのように分かってしまうのです。そこから人類はどうなってしまうのか。最初は楽で良いと思っていたが、段々と様子が違ってきます。
よく僕も人の考えていることが分からず、悪い方悪い方に想像を膨らませてしまいます。他人の考えていることが分かれば、自分の想像が杞憂だと分かって本当に楽になると思えます。ただ、人の考えてが以心伝心して来るのと一緒に知りたくないことまで知ってしまいます。僕はそんなことまで考えて来なかったです。自分を大事にする感情が働いて他人の負の感情まで抱え込んでしまう。ストレスフルな状態に陥ってしまうでしょう。
この作品は、見た目はなんじゃこりゃと思わせておいて、味は美味な創作料理だと思いました。それか、見た目はグロテスクなのに食べると美味しい真紅のヒドノラ科の植物のような作品です。最初の印象に惑わされずに作品の旨み、芯の部分を感じられると、とても興味深い作品に変貌します。
これは不味そうだと偏見があると料理も美味しく感じないように、作品も最初から「これ何だよ」と思わずに何がテーマなのかじっくり読み取ろうとすると、何かしら自分なりの結論が見えてくるはずです。
まあ、正直マイナーな作品と言っちゃえるような小説です。
以上で今回の感想を終えます。拙作のリンク↓↓
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