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染井為人 悪い夏(角川文庫)を読んで
今回は読書感想文の記事を投稿いたします。
作品は染井為人さんのデビュー作「悪い夏」です。
ネタバレなしの抽象的感覚派読書感想文、ぜひご一読ください。
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複数視点で物語が進行するのですが、主人公は生活保護受給者の相談に乗るケースワーカーとして働く、佐々木守という冴えない男性。
佐々木は特別目立った点のない保守的な凡な男だが、そんな彼が受給者のシングルマザーの愛美が同僚のケースワーカーに脅されている事実を知り、事情を聞きに行きます。
その出会いから、彼は転落をしていく物語です。
保守的で平凡な男という設定が最大公約数的で多くの読者に共感を呼ぶ作りになっております。
登場人物が全員どうしようもなくてリアルな人間を感じられ、最も人間臭い小説だと思いました。
この作品は例えるならば、フライドポテト、ハンバーガー、唐揚げに激辛の真っ赤な鷹の爪のソースをかけたような作品です。
人工的な油をまとい、美味だが胃がもたれやすく罪悪感を抱き、辛さが刺激となって癖になるのです。
重たさを感じつつも、刺激を感じたい人にオススメの作品です。
これで今回の抽象的感覚派読書感想文を終えます。
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