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短歌

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2024年9月の記事一覧

短歌(2024年6月)

短歌(2024年6月)

たんぽぽの綿帽子らのささやきにそよと吸ひ込まれゆく白き蝶
(2024/8/5 神戸新聞文芸・入選)

短歌(2024年5月)

短歌(2024年5月)

幼子が目に映るせかいのかけらをちひさきリュックにすくひ入れをり

わが足の地(つち)踏む草鞋のやうな音 遥けき昔もかく歩みけむ
(2024/7/15 神戸新聞文芸・入選)

きみがこぞ読みける物語のやうに永久(とは)なる旅をきみとぞしたき

短歌(2024年4月)

短歌(2024年4月)

今日もまた記憶の浅瀬にて逢はるるきみの姿を抱(いだ)きて生きむ

オーケストラ ソリストの弓は空を裂く気高き龍が立ち昇るごと
(伊丹歌壇/題「龍」・優秀賞)

短歌(2024年3月)

短歌(2024年3月)

天の原昏き雲ぞ掃き出でらるるちひさきちひさき三日月冴ゆ

荒れ狂ふ波に飲まれじとおほきなる白き翼になる夢をみる
(2024/5/6 神戸新聞文芸・入選)

透きとほる水、日を慕へばテーブルにうつろふ虹のまどかなるかな
(2024/6/24 神戸新聞文芸・入選)

真白き雲みなの思ひを吸ひ込みてふわんふわんと丸くふくれゆく

車の下しづかに咲ける花たちのちひさきたましひ世のあはひに立つ

おほきなる

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短歌(2024年2月)

短歌(2024年2月)

色々な人の思考を飲み込んで変質する我はプラスチック

今われは生きているのだとふいに思うたとえばバスに揺られるときに

雨降れるしづかなる世界にただひとり傘のうちには終はらぬ絵巻
(2024/4/8 神戸新聞文芸・入選)

短歌(2024年1月)

短歌(2024年1月)

風過ぎて樹の形そのままに落ちた葉は薄青のたましいの抜け殻

ためらいなく席を譲ったあの人の綺麗な横顔が眩しかった

気まぐれにみた駅伝の走る音積み重ねていく音、心地よく
(2024/3/11 神戸新聞文芸・特選)

物語終わるも彼らの生は続くわが脳に2cm(センチ)ほど間借りして

わが身体(からだ)を成す細胞はぽろぽろと崩れてこの世の一部にもなれず