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詩『快晴』

晴れた空を見て泣きそうになる
君の事を思って

晴れた空を見て泣きそうになる
誰かのことを思って

晴れた空を見て泣きそうになる
今までの自分の日々を呪って

分断された金網の向こう
家の瓦が地面に叩きつけられて
めちゃくちゃな世界が広がっている
こことたった1メートルもないのに地獄みたい

水場のコンクリートに割れ目が入って
そこから黄色いタンポポが生えていた
いつか彼らも頭から綿を生やし
次の命をこの街に産み落としていく

晴れた空を見て泣きそうになる
弱虫な僕の心を笑いたくて

晴れた空を見て泣きそうになる
あの日嗅いだ花の香りを思い出して

晴れた空を見て泣きそうになる
続く日々と
僕らの命の逞しさに



[了]



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