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第六章 春ヶ原に差す光 朝の空気は冷たく、澄んでいる。 風花は結界の中で、揺らめく霧…
公園に着いて、霊泉の前に立ったときだ。風花は、あれ、と思った。 今までは結界の前に立…
「あの、スーフィアさん……」 風花は横たわる優月を見つめた。 彼の体はところどころが…
「ねえ、夏澄くん……」 風花はそっと声をかける。 「優月さんが元気になるように願おうね…
やがて、林に霧が流れ始める。 霧は幻影の優月の姿を覆う。 幻影の優月の姿は見えなく…
優月は遠くに見える夏澄に、もう一度心の中で頭を下げた。 夏澄にも、飛雨たちにも、つら…
夏澄くんは草花ちゃんと同じ……。 優しくてかわいくて、でも儚げな草花。 ちょっとしたことで、すぐ消えてしまいそうだ。 夏澄は草花よりはずっと強い。だが、どこか儚げだ。 なにかあると、簡単に消えてしまいそうな不安感がある。 優しく生まれた夏澄は、きっとすぐ無理をする。 草花のように、がんばりすぎて弱り、透きとおって消えかかる夏澄の姿が目に浮かんだ。 そんな想像を、風花はあわてて打ち消した。 「あの、スーフィアさん……」 「なあに?」 「もしかして
「風花ー、スーフィアー!」 ふいに、夏澄の声が響いた。彼は立ちあがり、風花たちに手を振…
風花は春ヶ原をゆっくりと眺める。 一面の桃色しろつめ草に、それを囲んでいる色とりどり…