水の空の物語 第6章 第26話
夏澄くんは草花ちゃんと同じ……。
優しくてかわいくて、でも儚げな草花。
ちょっとしたことで、すぐ消えてしまいそうだ。
夏澄は草花よりはずっと強い。だが、どこか儚げだ。
なにかあると、簡単に消えてしまいそうな不安感がある。
優しく生まれた夏澄は、きっとすぐ無理をする。
草花のように、がんばりすぎて弱り、透きとおって消えかかる夏澄の姿が目に浮かんだ。
そんな想像を、風花はあわてて打ち消した。
「あの、スーフィアさん……」
「なあに?」
「もしかして夏澄くんも、草花ちゃんみたいに、周りを癒しすぎて、弱ることがあったんですか?」
スーフィアはかすかに瞳を伏せた。
「ええ、旅をしている間に、本当に何度も。大変だったわよ」
「だいじょうぶでしたか?」
「まあ、なんとか。……でも、私たちはそんな夏澄が大好きで。だから、護っているのよ」
風花はぎゅっと手を握る。
わたしだって……。
わたしだって、夏澄くんが大好きだ。優しさでできた夏澄くんを、なによりも一番に護りたいと思う。
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