水の空の物語 第6章 第4話
「あの、スーフィアさん……」
風花は横たわる優月を見つめた。
彼の体はところどころが透きとおって、揺らめいている。かすかに、淡緑色に光っていた。
「優月さんの体がこんな風に透き通っているのは……」
「そうね。優月はきっと消えたいと思っているわ。精霊ではなくなりかけているの」
夏澄たちと違って、スーフィアは優月から瞳をそらさない。
悲しいような優しいような表情で、正面から優月を見ていた。
「でも、精霊が消えるなんてことないですよね……?」
もしかしたらと、風花は希望を込めて訊いた。
「そうでもないわ」
スーフィアは瞳を伏せた。
「霊力を無くして、霊体を保てなくなれば簡単に……。優月は霊力を出し続けているでしょ?」
風花は優月を見つめる。
だから、ずっと淡緑色の光が出てるんだ……。
淡緑色の光は、優月の霊力の色だ。
風花は、あれ、と思う。
淡緑色の光が、一筋、優月の体にもどって吸い込まれるのが見えたからだ。
一筋、また一筋と、もどっていく。
訊こうとした風花の頭の中に、声が聞こえてきた。
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