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#82|初めての能楽。4歳娘の”感じる”鑑賞スタイルがいいなあと思った。

この前の日曜日、初めて「能」を見に行った。
市の文化事業団主催の、毎年恒例の催し物らしい。

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第一部は能を学んでいる小学生や講座生の発表。
第二部がプロの登場、宝生流による『舞囃子|紅葉狩』と『半能|巴』。シテ方は金井雄資さん。

・・・とパンフレットを見ながら一生懸命書いている。
シテ方って何だ?、能の教養は完全にゼロ。歌舞伎とは違うんだよね?なんて失礼なことを言っているレベル。

公演も、娘(4)が行ってみたいといったのがきっかけだ(※娘は日本の古典芸能に興味を持つ。渋い4歳)。



それでも、来て良かったなと素直に思った。
知らない物事に触れる経験は、いつだって自分に新しい世界を見せてくれる

新しい世界を知ると、自分の心が動く。
好奇心、興味、「へえ!」体験・・・。
そして「感動」は次なる意欲を生み、人生の新しい楽しみを与えてくれる。


いつまでも気持ちが若い人というのは、こんな「自分の心が動く体験」にどんどん足を運んでいるんだろう。
私もそうでありたい。
おばあちゃんになったときにも、バイタリティに溢れ、好奇心旺盛でアクティブでいられるように!

新しい物事に触れる機会を積極的に作っていこう
そう思った初めての能鑑賞。

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鑑賞の仕方は人それぞれでいい…けど。

舞台が始まる前、簡単な説明があった。
能舞台の役割、登場人物、簡単なストーリー、感情表現の仕方。

そして手元には解説が書かれたパンフレット。


能の知識ゼロ&事前勉強もせずに行った私は舞台を見ながら、聞いた話とパンフレットとを見比べ、一生懸命「理解しようとした」。

歌うお経にしか聞こえない地謡(コーラス)、やっぱりお経にしか聞こえないセリフ・・・なんとか言葉を聞き取ろうと聴覚を集中させ、ストーリーを追いかけようとした。

「よ~っ、ポン!」と連打する太鼓さんを見ながら、指痛くならないのかしらと余計なことも時に考えながら。


結局、ストーリーを追いかけることはできなかった。今はこのあたり?とあてずっぽうに見るのが精いっぱい。



さて4歳。

当然、事前解説もパンフレットも理解していない。けれど視線は舞台に釘付け。さすが自分で行きたいと言っただけのことはある。

お面をつけた主人公を追いながら、小声で私に伝え続ける。

「ねぇ、ママ。お面、踊ってるねえ。嬉しいのかなあ」
「お面、足ドンドンやってるねえ。怒ってるのかな?」
「あ、お面動かなくなったよ?疲れたのかな?」
「ねえ、お面、服着替えたねえ!あれ、鬼になったのかなあ?」



あれ?

娘、お面が「嬉しい」とか「怒ってる」とか、心情を感じられているじゃないか。

私が解説と舞台を見比べて「??」となっている間に。


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「理解しようとする」か、「感じる」か。

芸能やアートを「鑑賞」するのに、正解はない。

正解はないけれど、深く鑑賞できる自分になるために、「理解」より「感じる」を意識してみるといい。そうと教えてくれた人がいる。


それはTwitterで仲良くしていただいているNYさん
自身も現代アートのアーティストであり、著名な映画やCM、アーティストの映像制作も手掛ける、知る人ぞ知る有名人。(現実には会えないはずの方に、ふとしたことでご縁が繋がり仲良くなれるのがTwitterのすばらしさ!)

そんなNYさんとたまたま「芸術鑑賞」の話をしていたときのこと。NYさんがこんなコメントをくださった。

あ!美術館良いですねぇ!作品に対する知識はあるに越したことありませんが、是非「どう感じるか」試してみてください。その「感じ」が作品と繋がれたチャンネルであり、作家と繋がれた証拠です。 
NY@映像&アートさん

それまで鑑賞といえば、

・その作品が伝えたいことを見つけ
・理解し
・自分も感想を抱き
・言語化して表現しないといけない

と思っていた。
そんな先入観に気づせていただいたやりとりだ。


「理解主軸」の鑑賞スタイルに疑問を持ったことなんてなかったし、それ以外の鑑賞法があるといういことも思ったこともなかった。完全に自己認識の外だった。

NYさんとのやり取りは衝撃と印象が強かったので、鮮明に覚えている。



日曜の能舞台。
娘は、NYさんが言う「感じる」鑑賞スタイルを実践できていたんだろう。

娘はお面をつけた主人公と「繋がれて」いただろう。
娘自身が、お話の一部になれてすらいたかもしれない。


一方、私は「感じる」より「理解する」脳が優位に立っていた。結局、理解できずに消化不良のまま帰ることになってしまった。


もっと主人公を「感じる」ことに集中してみれば、能ともっとつながれたかもしれない。新しい世界がもっと見えたかもしれない。


だから、また能を見に行きたいと思う。
次は「感じる」経験をするために。


新しい世界との出会いは、やっぱり面白い。

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◆つづき、もう1記事あります◆

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