氷の聖人と真っ白な世界
氷の聖人と名前のついた曜日がある。春真っ盛りに突如としてあわられるまさしく中世より伝わる気候の聖人。毎日いろんな聖人がいてややこしいのだが、この氷の聖人達だけは、あちこちで囁かれる。二、三日おかげでしっかりと寒い。下界では雨が続き、天上では雪が降る。
それまで春通り越して夏になるんじゃないかっていう太陽の暑さも一気に何処かへ消え、窓を開ければ、霧のミストが静かに室内に入ってくる。テラスで霧に包まれながらコーヒーを飲む。眼前に広がるはずの壮大な山の景色は真っ白に覆われて何も見