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1.とおりゃんせ(経済発展によって行き場を失う霊性の物語)
2.一円玉の歌(落ちている一円玉にまつわる都市伝説)
3.ムシの多いレストラン(現代社会で忌み嫌われる虫。虫の正…
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チベットのサーカス団(短編小説)
「ジョン!」
大きな声が聞こえたような気がしました。ぼくはトロトロとした夢の中にいて、その声をはっきりと認識できませんでした。
「さっさと起きるんだ!」
ゆっくりと目を開けると、鼻の先に四郎さんの頑丈そうな足が見えました。
――パシッ
その瞬間、竹のムチが背中にとんできました。
「キャイーン!」
ぼくは悲鳴をあげて跳ね起きました。
「散歩だ」
怖い顔をした四郎さんがぼくの首輪にリードをつ