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2021年11月の記事一覧
【小説】祝日をふやそう
「祝日を増やします!」
ファミリーレストランのランチどき、食事を終えた彼女は、満席に近い店内で臆することなく、高らかに宣言した。
「素晴らしいアイデアだね。でも、どうしたの、急に」僕はいたって冷静にそう応える。
「だって、春分の日と秋分の日は祝日なのに、夏至と冬至は祝日じゃないんだよ?それって不公平じゃない。法律って公平であるべきよ、そう思わない?」
なにを持って公平とするか、無知な僕
【小説】お前らが知らないだけ
ステージからいちばん遠い入口の壁面にもたれかけ、一生懸命に笑顔で歌い踊るアイドルを見つめる男。それは、僕。
ステージの前では、熱狂的なファン、俗に言うヲタクたちが声を、拳を振りあげて熱心に応援している。その熱気は取り換えられたばかりの最新式エアコンでも抑え込めないほどで、湯気だってさえ見える。
ここまで人を熱くさせる彼女たちでも、世間的に見えれば、まだまだ売れないアイドルなのだ。毎日毎日
【小説】夕焼け小焼け
「ゆーやけー、こーやーけーでー、ひーがーくーれーてー」
西日が強く差し込み、文字を打つ手元を照らしている。ふと外を眺めると空がオレンジ色に染まり、青が隅に置いやられていた。
通りすがりにこの春に入社したばかりの女性社員が口ずさんだ歌。
「久しぶりに聴いた」
「なにが?」
「いまの」
先輩に尋ねられ、帰り支度を進めていた手を止めて答える。
夕焼け小焼け。地元では夕方になると、このメ