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拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の7」
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「ジンノー殿ですか? さて、少し休むと言って村のはずれのほうへ向かいましたが。それよりもシャオファさん、ノオラの子の様子は……なんと! ノオラが息を吹き返したと!? そ、それではノオラのところへ私も向かいます!」
ジンノーを探しに出たシャオファは途中出会ったゴラルドに事の経緯を説明し、彼とは別れてジンノーを探す。
命を失った人間がかなりの時間を経たのち再び息を吹き返すなどという
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の6」
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夜の村を駆け、シャオファはノオラの家にたどり着いた。
村の中はシンと静まり返っており、家々の戸口は固く閉ざされている。村に急病人が出たというのであれば、少しは近所の者が出てきていてもおかしくないだろうに。そのような気配すらない。まるで何か、忌むべきものを避けているかのようだった。
「――っ!?」
家の前まで来て、シャオファは驚きに息を呑んだ。夜闇でよく見えなかったが、家の
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の5」
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「腰が痛い? そりゃ痛いだろうよ腰がくの字に曲がっておるのだから。一体全体、どうなっとるんだそれは?そうなったら儂でもまともに歩けんぞ……。ああ、わかったわかった! シャオファ! この婆さんを寝かせろ! ――どこまでやれるかわからんがあの腰、逆にひん曲げるぞ」
「それでおまえは腹か? 昨日は何を食った? 何? 弟の快気祝い……ああ昨日怪我人の兄貴か貴様。それで酒を――それだけ飲めば
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の4」
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「おお、帰ってきたぞ!」
「ゴラルドさんだ!」
陽も落ちかけた頃、村の入り口でゴラルドに連れられたジンノーたちを迎えたのは幾人かの村人たちであった。
ジャッカルたちと戦った場所からやや急ぎの歩きで半刻ほどしたところにゴラルドの治める村はあった。山間にある、ゴラルドの言葉通りの小さな村だ。戸数もそれほど多くはなく、人口もせいぜい200人いるかいないかというぐらいだろう。
(たしかにこ
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の3」
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「……」
「……」
言葉もなく、もくもくと街道を連れ立って歩む二人の男女の姿があった。
一人は黒衣の僧服の青年、無頼の拳士ジンノー。
もう一人は旅装姿の亡国の姫君にして、その身に不死の呪いを秘めた美しき少女シャオファ。
悪漢に追われる彼女を救う形で出会った二人は、奇異な縁から街を目指し共に街道を進んでいた。
(我ながら慣れぬことをしているな。やはり儂ごときが説法の真似事などする
拳法無頼ジンノー 目次
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君」☆1
荒廃した戦後の大地!人心すら乱れた世に絶殺の男と不死の姫が出会う!
☆2
明かされる少女の恐ろしき秘密!ジンノーはいかに向き合うか?
☆3
街道に現れる凶悪な魔獣!秘拳「極輝拳」ジンノーの奥義を見よ!
☆4
深い傷を負った村人たちを救うべく、ジンノーの治癒の技が光る!
☆5
一難去り穏やかな村での一日。しかし不穏の影は忍び寄る…
☆6
無
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の2」
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「私を殺していただきたいのです」
最初に彼女が――シャオファが何を言ったのか、ジンノーにはよくわからなかった。それはジンノーが予想していた言葉とは大きく違った。
悪漢の兵士に追われる、顔立ち卑しく無き見目麗しい少女……。結果的にではあるがその窮地を救ったとなれば、次の言葉は「私を守ってください」とそんなところがくるものであると思うのが普通だ。
だが、シャオファの言葉はその真逆。自分
拳法無頼ジンノー「絶殺の拳士と不死の姫君 の1」
人類と魔族の大戦争の終結から9年、荒れ果てた大陸の片隅で一人の拳士と一人の少女が出会う。絶殺の宿業を背負うモンクの男、ジンノー。不死の宿痾を患う少女、シャオファ。二人の出会いは大陸の陰に蠢く強力凶悪なる存在『魔人』との戦いの始まりであった!
「ハァハァ……!」
荒く、大きく肩で息をしながら青年は血走った目で己の拳を見た。緊張で堅く握り込まれ、開くこともできないその拳にはべったりと鮮血がこび
魔銃・アブトマットカラシニコバ
(前回までのあらすじ:己の主である魔術師を射殺し帝国軍を出奔した『AK-47』は、同じく己の主を斬った主君殺しの刃『村正』と共に同盟軍の勢力圏内にまであと15キロというところまで辿りつく。しかしその追っ手の中には最強のウェポン、不滅の刃『デュランダル』が居た!)
パン!という乾いた音と共に発射された弾丸は、狙いをやや外しながらも確実に命中した。
眉間を撃ち抜かれた最後のオーク鬼は、苦悶の声と