春にさいみつ
はじまるまでは、特に予定のなかったゴールデンウィークだったが、訪れた田舎(父の生家)の山で、わらび採り、たけのこ掘りと思いがけず春に触れることができた。
でも、交通渋滞も鑑みて、夕ご飯前に帰宅するにはそろそろおいとまかな、と思いかけた頃、義弟(仮にヒロさん、としとく)が「さて、”さいみつ”してみましょうか」と言い出した。
さいみつ??
採蜜、ということはハチミツが採れるんだろうか、というかハチミツを集められるほど、しっかりミツバチに巣を作ってもらっているということ?
どうやらヒロさんはニホンミツバチを集めるため、田舎の伯父の所有地のあちこちに、以前からいくつかの巣箱を設置していたようだ。こういうかんじの”重箱式巣箱”を。
養蜂を試しに、普段は伯父夫婦しか住んでいないこの山へ、足繁く通い、先月など、ほぼ毎週末訪れていたとか。なんと、アナタが身内の誰よりもここに来てるんでしたか。
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伯父とヒロさんは、網付き帽子をかぶり、肘まであるぶ厚い革手袋をはめ、揃って養蜂家ファッションに変身した。ミツバチを傷つけずにはらう専用ブラシや、風でふきとばす充電式ブロワーまで手にしている。いったい、いつの間にこんな装備を。
いちばん最初に設置したという、巣箱をチェック。
虫が苦手な方はすこしだけ注意の写真。
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しましまが無く全体に黒っぽいミツバチはオスなんだそう。中の巣のサイズを確認し、今回は重箱の一番上をカットして採蜜してみることに。
他の人たちは、危ないので数メートル離れ、初収穫を遠巻きに見守る。ヒロさんは「あー、手順が違ったあ」「先にこっちをしなきゃだった」と、伯父にあれこれお願いしながらもアタフタしてた。何事も、やってみなくちゃわからない。
ワイヤーやナイフを駆使し切り離した巣箱の中には、少しタイミングが早かったんだろうか、みっちりではないけれど、それでもちゃんと巣ができていた。なんでこんなに美しい六角形が出来上がるんだろう、不思議。
持ち上げるそばから、ダラダラと蜜がこぼれてくる。ぎゃあああ、もったいない〜!指ですくってなめる、甘い!!ハチミツだから当たり前なんだけど、甘〜いんだよおお!!!
意外にサラサラしてあっさり。けれど、しっかり味があって、やば、美味しい、こんな美味しいハチミツなめたの、人生で初めてかも。
せっかくだから、巣蜜(コムハニー)を頂きましょうと、お皿に載せてナイフで切り分けると切る感触がこれがまたサクッ、なのかホクッなのか、なんともいえない快感を伴うもので、みんなで代わりばんこにナイフを入れながら「ちょっとちょっと、切ってみて〜!きもちいよぉ〜!」と大騒ぎだった。
巣蜜は、記憶にある限り初めて口にしたと思う、口の中に一切れ入れたら、サクッ、フワッ、ジュワ〜ッッッ、と、とろける〜、そして喉の奥がぽっと熱くなるようなかんじで、んまあああああい!!!語彙力喪失の感動的な美味しさ、もう、びっくりだった。
というか、さっきから全員”美味しい凄い”しか言えてない。
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巣と蜜を分離するのに、今回は最初なので本格的な道具の用意は無く、小さな果汁用ハンドジューサーでのチャレンジだった。ハンドジューサーの網部分に、ガビガビにくっついてしまう蜜蝋を、剥がしつつ搾り取った蜜を、これまた小さなネットで濾し瓶詰めする、という作業を行ったので、手間がかかった上にかなりロスが出た。そして、手も服もそこらじゅうベトベトになってしまった。
とりあえず、8瓶くらいになっただろうか。さてさて、どうやって食べる?ヨーグルトやフルーツにかける?パンケーキ?チーズやナッツにもいいねえ。はちみつきなこトーストも最高ですよ。くうう、ワクワクが止まりません。春で水分多目の生はちみつなので、さっさと食べてね、と言われたけれど、そんな心配はよそに、あっという間に無くなるでしょう。(実際、瞬殺で消費した)
実際のところ、ここまでの養蜂チャレンジにどのくらいのお金がかかっているのか、きけば「十数万ですかねえ」というお答え。
うう……めっちゃお高いハチミツだった!
界隈のミツバチの皆様へ。コツコツと建てておりますこの山の重箱式巣箱に、移住なんていかがですか、多分、結構、快適にお過ごしいただけますよ。
そんで、美味しいハチミツを分けてくださいませ!
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