読書感想文〜『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ
最近は読書(漫画含め)より家で映画を観ることが多くなりました。
『白ゆき姫殺人事件』は以前本で読んだことはあるんですが、映画のほうが記憶が新しいので、映画感想文寄りの読書感想文として書いていきます(と言いつつ感想の内容としてはほぼ変わらないと思います)。
原作は湊かなえです。
話の中のキーマンは赤星という若いフリーのライターです。友人が三木典子の後輩であり、話を聴きだしSNSに情報を出していきます。
同期の三木典子と比べて地味で目立たず、彼氏を奪った三木に恨みを持っているとされる城野美姫が世間で犯人と噂されていきます。
ネットで自分に関する情報を流され、親がカメラの前で謝罪する姿まで広められてしまう城野美姫。はたして事件の真相は。
各章、事件の当事者や周辺の人たちの証言で進んでいきます。
構成もおもしろかったし、人の表面的な付き合いや事件を面白がってる人達が怖い…さすが湊かなえさんの本、はずれなしです。
と、わかった口をきいてますが数冊しか読んでません。『母性』読んでみたいです。
映画も井上真央、綾野剛、菜々緒、どの俳優さんも役柄ぴったり(井上真央さんは綺麗すぎますが雰囲気がオドオドでイメージは合致)でした。
うわさ(=デマ、流言とします)について少し書いてみます。
『デマの心理学』という本の中で、著者のオルポートとポストマンという心理学者はデマ(流言)の伝達について、下記の3つの変化が生じるとしています。
人に伝わるごとにその人の思いも入っていきながら形を変えて広がっていく、ということです。
また、うわさやデマに関する研究をしているニコラス・ディフォンツォというロチェスター工科大学教授は、人間は「他者と関わり生きていく社会的存在」であり「世界を理解したいという欲求がある」、そして「人は受け入れられる噂だけを信じる」と言っています。
そのうわさが、その時の自分の感情や考え方に合致するから信じる、そして曖昧なうわさであっても信じたいから確証する証拠ばかりに注意が向き、反証する証拠は無視してしまったりする確証バイアスが発動してしまう、ということです。
また、情報源が信用できる人物の場合(専門家とか)信じてしまう、同じうわさを繰り返しきくことで信じやすくなってしまう、現代ではSNSでは特に繰り返し目にしてしまう機会が多いので余計に信じてしまうことが多くなってしまうようです。
また、オルポートとポートマンはうわさの基本公式を
としています。
つまり重要さと曖昧さの積がうわさの流布量となるので、いずれかの値が0になればうわさにならないのですが、逆に重要さと曖昧さの両者が大きくなれば爆発的にうわさは広がってしまうことになります。
そして他者に伝達されやすいうわさは『曖昧さ』と『不安』が大きく、不安をかき立てる情報が伝えられやすい、ということです。
有名な例で過去に『豊川信用金庫取り付け騒ぎ』という出来事がありました。
通学中の女子高生3人の会話の中で、豊川信用金庫に就職が決まったA子さんにB子さんが「信用金庫は危ないわよ」と冗談を言ったのを(A子さんB子さんの戯れの会話)C子さんが真に受けて家に帰って叔母に話し、叔母が周りに話し、それが広がり…ということで14億円もの預貯金が引き出され倒産危機に陥ってしまった、という事件です。
当時の豊川信用金庫さんは大変な迷惑を被ったと思います。
女子高生たちも些細な冗談を言っただけにもかかわらず、こんな大きな社会問題になってしまってびっくりしたと思います。
誰も悪くないと言えば悪くない事件ですが…うわさって怖いです。
『白ゆき姫殺人事件』に戻ります。
同じ職場の後輩の証言という一見確実そうな話だったり、赤星自身が自分が信じたい話を流したり…と、尾びれ背びれがつきながら『城野美姫像』が拡散されていきました。
メディアリテラシーという言葉も現代では充分周知されていますが、個人的なことは判断しにくく、難しいところだと思います。
いろんな方面からの情報を受け入れる、慌てて判断しない、というところが対処法でしょうか。
あと、殺された三木典子ですが、とびきりの美人なので事件後もいい印象で報道されますが、実際は…な女性でした。
対人魅力(他者に感じる魅力)の外見的魅力=外見への評価が内面の評価にも波及し、外見がいい人はハロー効果により思いやりがあり、知性がある、など性格や能力が高く評価されるため、魅力を感じやすくなります。
ひとは見かけで判断しちゃだめ、と思いつつ、初対面であったり知らない人に対しては判断のしようがないので困ります。
中身が危険な人はどどめ色オーラが出ていて一目でわかったらいいのになあと思います。
自分にそんなオーラが出てないことを祈りつつ。
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