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少しの負荷が肥満解消に大きく貢献する?重りを着てトレーニングする効果を最新研究から解説

標準体重肥満、つまりBMI(体格指数)が正常範囲内であっても体脂肪率が高い状態は、見た目は一般的な体型でも肥満と同様の健康リスクを抱えています。

この状態は特に女性に多く、心血管疾患や糖尿病など代謝異常のリスクが高いことが知られていますが、体重の増減が少ないため見逃されがちです。このような「隠れ肥満」は、通常の肥満と同様に体内で炎症が進み、内臓脂肪の蓄積と共に深刻な健康問題を引き起こす恐れがあります。

今回紹介する論文は、こうした状況を受けて体脂肪を減らし筋肉量を増やすトレーニング方法として「ウェイトベストを着けたサーキットトレーニング」の有効性が調査されました。研究で得られた結果を参考に、女性が自重以外の負荷を加えてトレーニングすることの有効性を解説します。

ウェイトベストを着けたサーキットトレーニングの実践

標準体重肥満の女性は、体脂肪率が30%を超えることが多く、筋肉量が少ないために基礎代謝が低く、脂肪燃焼効率が悪いという特徴があります。このため、標準体重肥満は一般的な肥満よりも心血管リスクが高く、動脈硬化やインスリン抵抗性の増加によって、生活習慣病の発症リスクが上がることが指摘されています。

脂肪細胞から分泌されるレジスチンというホルモンは、肥満状態で分泌が増加し、インスリン抵抗性を高めるとともに、心血管疾患のリスク因子である炎症性物質IL-6高感度CRPを増やします。

これらの物質が体内に蓄積すると、血管の炎症や内臓脂肪の蓄積が進行して慢性的な炎症状態が生じることから、標準体重肥満の改善が健康維持には重要です。

今回の研究では、こうしたリスク因子を改善するために、ウェイトベストを使ったサーキットトレーニングの有効性が検証されました。ウェイトベストは検索していただくといろいろ出てきますが、おもりを直接着けられるベストです。重りの量を調節することで負荷を軽くしたり重くしたりできます。

この研究では、20~30代の標準体重肥満の女性36名が対象となりました。

彼女たちは過去6か月間に定期的な運動プログラムに参加していないこと、特定の病歴がないこと、過去6か月以内に経口避妊薬を使用していないことが条件とされ、ホルモンの安定を保つために生理周期が安定している女性が選ばれました。

参加者はランダムに3つのグループに分けられました。

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