腸内環境が不安感を誘発する?食事での改善のポイント
以前、脳腸相関に関する記事を紹介しました。
「脳は第二の腸」と言われるようになって、腸内環境の重要性はさまざまなメディアでも紹介され認知されるようになりました。今日は、そんな腸脳相関と「不安感」との関係性について紹介したいと思います。
自閉症児童は腸内細菌
人の身体に存在する微生物の集合を、マイクロバイオームと呼びます。微生物とは細菌、真菌、ウイルスなどを指すのですが、とりわけ腸のマイクロバイオームの構成が、行動障害にも相関関係があるというのが、様々な研究から報告されているのです。
ある研究では、自閉症の児童は高い割合で消化管障害を患っているという点から、自閉症と腸内細菌の異常に関係があると考え、神経症の児童20名と自閉症の児童20名の糞便を調査。ちなみに、調査した神経症を患う児童には、消化管障害は見られませんでした。
この調査の結果、自閉症の児童20名の腸のマイクロバイオームは、神経症の児童よりも明らかに多様性が低かったそうです。マイクロバイオームの多様性は、健康やアンチエイジングの指標のひとつでもあります。特に自閉症児童は、プレボテラ属(嫌気性感染症の回復、糖代謝の改善などが報告されている細菌群)やコプロコッカス属(抗炎症作用を持つ細菌群)、ディアリスター属(同じく抗炎症作用を持つ細菌群)が、少なかったそうです。
4EPS(4-ethylphenylsulfate)について
この後の解説をする前に、これから話す内容と深く関係する4EPSについて、先に紹介させてください。4EPS(日本語で「4-エチルフェニル硫酸」)は、体内でチロシン(うつ状態を改善する効果がある非必須アミノ酸の一種)、クマリン酸、ビニルフェノール、4EPという物質を経て生成される、腸内細菌由来の代謝物のひとつです。
4EPSは別名「尿毒症性毒素」とも呼ばれ、腸内細菌のうちの悪玉菌が作り出すということが分かっています。そして、この4EPSが様々な形で、私たちの行動に悪影響を及ぼすのです。
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