混沌戦記ー斯くして少年は世界を救う英雄とならんー 第7話「刺客」
前回のエピソード:迎撃
S1.国道バイパス道路・交差点
交差点の南の横断歩道。
帝国軍の行軍が、交差点から、千m前後の距離で、一歩も動かない。警戒する獅子隊。
英汰「嵐の前の静けさですか? 」
膝撃ちの姿勢で言う。
三好「!? 」
道路に横たわる兵士の亡骸が、次々と消滅。
英汰「消えた? 」
警戒する。
由比「英汰! あれは、術師の能力だ! 」
道路を見ながら言う。
三好「フェンスタ―! 長船一尉の予測通り『刺客』が来るぞ!」
交差点の2~300m前後で、大型のゲートが出現。
ゲートから、パイク(槍)やハルバート(斧)を携帯した多量の血気盛んな派手な衣装を着た傭兵が出現。
由比「傭兵か? 」
緊張が走る。
三好「獅子隊! 覚悟を決めるぞ! 」
小銃を構え、一点に見つめる。
叫び、走って突撃する傭兵達。
三好「撃て! 」
獅子隊、一斉射撃。
多量の傭兵の前面が被弾し倒れるが、生き残りの傭兵が、走って突撃する。
三好「命知らず共め! 」
額に汗。
立ち上がる英汰。
由比「英汰! 」
英汰「スイマセン! 」
槍と斧で迫り来る傭兵達に、スリングで小銃を身体に掛け、手榴弾用弾薬のうから手榴弾を取り出し、安全ピンを抜き、傭兵達に向かい、手榴弾を弧を描くように投げる。
傭兵達の足元に手榴弾が到着し、手榴弾が大爆発。
爆発後、煙が消えるが、前進を続ける生き残った傭兵達。
英汰「ヨッシャ! 」
そして、ホルスターから、拳銃を抜き構える。
英汰達、立撃ちの姿勢で拳銃を撃つ。
的確に、一人ずつ帝国の兵士に、銃弾が命中して倒れていく。
最後の傭兵の一人も命中し倒れる。
筧田「ヤッタ! 」
狙撃銃を構えていた筧田が叫ぶ。
三好「坊主! 拳銃はバックアップで、小銃が切れた時使うモンだ! 」
怒鳴る。
英汰「すいません」
頭を下げる。
三好「だが、助かった! 礼を言うぞ! 」
一転、笑顔で言う。
英汰「有難うございます」
一礼。
新しい大型のゲートが出現。
清原「フェンスタ―第2陣来ます! 」
機関銃を構える清原が叫ぶ。
新たなゲートが発生。
三好「清原、警戒を怠るな! 」
小銃を構えながら叫ぶ。
ゲートから、槍や斧を携帯した多量の傭兵が再出現。
三好「獅子隊! 戦闘態勢! 」
英汰達小銃を構える。
傭兵達が、叫びながら、突撃する。
小銃を撃つ英汰、三好、由比。
狙撃銃と機関銃を撃つ筧田と清原。
短機関銃と小銃を撃つ宍戸と根本。
獅子隊の隊員達が各種銃を撃つ。
獅子隊の全員による各種銃の一斉発射。
傭兵達が、被弾し、次々倒れて、全滅する。
傭兵「ウワァ」
一人生き残った傭兵が、獅子隊を見て、行軍の方へ、逃走する。
三好「深追いするな! 」
叫ぶ。
英汰「三好一軍曹! まだ、刺客は来ますか? 」
三好に向かって言う。
三好「確実に来る! だから、迎撃している! 」
真剣な表情で、行軍の方向を見て言う。
英汰「新手か!? 」
後ろからの物音に、気付いて、振り向く。
車輪のアップ。
上り下りの車線の道路から、24式装輪装甲戦闘車のRCV型(上りの車線)とICV型(下りの車線)が並行して走行。
清原「24式装輪装甲戦闘車だ! 」
叫ぶ。
三好「第一の『虎の子』が来た」
ニヤリと笑う。
バリケードのギリギリの所で停車。
後方から、戦闘車のMMCV型が登場して、RVC型の後方に停車。
MMCV型から、大猩々隊の布川と数名の隊員が降りて来る。
擲弾発射機付きの20式小銃(小銃に略)を携帯し、面長の顔で、英汰と同じ身長の布川。
三好「バリケードを開けろ! 」
獅子隊の隊員達がバリケードを開ける。
布川「英汰、久しぶり」
三好の方向へ向かう途中、サラッと挨拶。
英汰「フッさん! 」
布川を見て笑顔。
布川「第一大猩々隊の普通科連隊12小隊の布川三曹であります! 後から、第二、第三大猩々隊も合流します!」
三好に駆け寄り、敬礼する。
三好「獅子隊の三好だ! 急で悪いが、迫撃砲を此処に持って来てくれ! 」
敬礼する。
布川「でも、アレは、魔法兵士用の?」
不思議がる。
三好「置くだけで言い! 獅子隊、戦闘車と迫撃砲を帝国軍に見える様に移動しろ! 」
怒鳴る。
布川「了解! 」
再び、MMCV型に戻る。
英汰「三好一曹は、何をする気だ・・・」
三好達のやり取りを見ながら、小声で呟く。
布川「少しは、足止めにはなる」
ニヤリと笑う。
S2.国道バイパス道路②
バイパス道路②の行軍。傭兵達が、獅子隊を撃退出来ない為、行軍を一時中止。
兵士4「戦車と大砲だ! 」
短望遠鏡で、獅子隊を見て叫ぶ。
短望遠鏡の中の光景。各種銃を構える英汰達と中央には、120mm迫撃砲(迫撃砲に略)略が置かれ、後方には、戦闘車が停車。
S3.通信車・内部
内部。
隊員18「獅子隊が、帝国軍の『刺客』を撃破しました! 同時に、NOTE駐屯地の24式装輪装甲戦闘車も到着! 」
無線機を掴んで、叫んでいる。
長船「ロバスト帝国軍が、自衛隊が自分達の行軍を阻止しようとした際、『刺客』を送って来る事は予断していた」
腕組して言う。
隊員19「長船一大尉、帝国の通常の兵士より、ワンランク上と言うべき存在ですか? 」
長船に向かって言う。
長船「その通り。『刺客』に対して、我々は、『虎の子』で対抗する」
頷く。
S4.国道バイパス道路・交差点
交差点の南の横断歩道。
英汰達が、各種銃を構える。
三好「射撃指揮所の設置を急げ! 」
叫ぶ。
道路の傭兵の亡骸が、次々と消滅。
交差点の2~300m前後で、大型のゲートが再発生。
布川「フェンスタ―発生! 帝国軍の『刺客』来ます! 」
LAVの脇で、双眼鏡で見ながら言う。
英汰「次は何で来る? 」
小銃を構えて言う。
ゲートから、兵士の戦闘隊形(戦闘部隊)が上り下りの道路を利用して、2列で登場。戦闘隊形の前に連弩やクロスボウを携帯した兵士(散兵)が戦闘隊形の護衛に当たる。
竿状武器のハルバート(竿に略)を携帯した兵士を隊形の中心に、その周囲をパイク(長槍に略)を携帯した兵士で構成されている四角形の形態の戦闘隊形。
三好「戦闘隊形だ! 奴等は、本気だぞ! 」
額に汗。
英汰「然も、道路向けに陣形をカスタマイズしてます! 」
戦闘隊形を見て言う。
三好「坊主その通りだ! 獅子隊、奴等を此処まで到達させるな! 」
英汰達に向かって叫ぶ。
前進する兵士と長槍のアップ。
一同「了解! 」
英汰達も叫んで返答。
三好「否、その前に、散兵に注意しろ! 」
小銃を構えて叫ぶ。
獅子隊に緊張が走る。
連弩やクロスボウを構える散兵達。
散兵達から、多量の矢が降り注ぐ。
三好「防御態勢を取れ! 敵に此処の様子を見せるな! 」
英汰達が、防御盾を取って防御。獅子隊前面が防御盾で、防御されて、後方は見えない。
他の隊員達も防御盾やLAVに隠れて防御。
英汰「防御盾があって、本当良かった」
盾の下で、安堵する。
三好「坊主! 問題は、此処から、どう反撃するかだ! 」
チラッと、英汰を見て言う。
筧田「三好一曹! 俺は、何時でも準備OKです! 」
LAVに隠れている筧田が叫ぶ。
三好「獅子隊! ロバスト帝国に目に物みせてやる! 」
ニヤリと笑う。
三好「宍戸! 」
叫ぶ。
宍戸「ハイ! 」
宍戸が、LAVに、隠れながら返答。
長槍と靴のアップ。
帝国軍の戦闘隊形の兵士と散兵達が、着々と獅子隊の所まで、前進している。
散兵1「!? 」
散兵達の前に、謎の物体が飛んで来る。
散兵2「撃て! 」
散兵達が、謎の物体を連弩やクロスボウを撃つ。
散兵2「何だこれは!? 」
謎の物体の正体は、工事現場のコーンやコンバーや、『ご迷惑おかけします』と書かれた立て看板、安全帽、安全ベルト、誘導灯等であった。
その直後、散兵達が、銃弾が直撃して、倒れていく。
筧田や数名の隊員達が、散兵達の見えない方向から、狙撃銃や無音器の小銃で狙撃していく。
布川「三好一曹! 散兵鎮圧しました! 」
双眼鏡で確認。
三好「よし! 擲弾一斉発射! 」
防御盾を取る英汰達。LAVに隠れていた隊員達も立ち上がる。
三好や由比が、小銃に、小銃擲弾や06式小銃擲弾を装着して、一斉発射。
また、根本も小銃の擲弾発射機から擲弾を発射。
戦闘隊形の兵士達の前面に、擲弾が直撃して、大爆発。
生き残った兵士達が、長槍や竿を持って、叫びながら、前進する。
布川「まだ、来ます! 」
叫ぶ。
三好「仙仁! 」
英汰「了解! 」
膝撃ちの姿勢で、小銃を構える。
英汰、清原、由比達が、一斉に各種銃を撃つ。
銃弾が直撃し、倒れる戦闘隊形の兵士達。
三好「全滅したか? 」
額に汗。
布川「三好一曹、待ってください! 」
双眼鏡を持ちながら叫ぶ。
兵士達の亡骸が消滅。
S5.国道バイパス道路②
バイパス道路②の行軍。
行軍の前に、大型のゲートが出現。
遠距離から、馬上の重装騎兵達が二列で猛烈な勢いで前進。
S6.国道バイパス道路・交差点
交差点。
三好「重装騎兵だ! 」
小銃を構える。
英汰「擲弾を使用しますか!? 」
小銃を構えながら言う。
三好「先刻の戦法は通用せん! 」
三好も小銃を構える。
英汰「!?」
上空から音がする。
交差点へ、前進する騎兵達
ロケット弾のアップ。
ロケット弾が、騎兵付近に直撃して、大爆発。
清原「何だ!? 」
上空に、対戦車ヘリコプターAH―1S(戦闘ヘリに略)が出現。
英汰「AH―1S! 」
驚く。
三好「第二の虎の子だ! 」
戦闘ヘリを見て叫ぶ。
戦闘ヘリが、高速で飛行して、騎兵達の目前に接近。
戦闘ヘリの正面のアップ。
馬上で、剣や槍を掲げて威嚇する騎兵達。
20mm3銃身機関砲(機関砲に略)のアップ。
前進する騎兵達。
戦闘ヘリから、機関砲が発射して、2列の騎兵に直撃して、全滅する。
戦闘ヘリが、機関砲発射後、旋回して、その場を飛行して去る。
由比「救いの神だ」
上空を見て、戦闘ヘリを見送る。
三好「1回だけな」
小銃を構えながら言う。
S7.通信車・内部
内部。
隊員18「AH―1Sが、帝国の刺客を鎮圧後、離脱しました!」
無線機を持って叫ぶ。
長船「第〇戦闘ヘリコプター部隊には、交渉して、1回攻撃したら、戦闘ヘリを、直ぐに離脱させる約束だ」
口に手を当てて言う。
隊員19「長船一尉、でも、帝国には、我々ヘリも居ると言う事を印象つけました」
笑顔で言う。
長船「その通りだ」
上を向いて言う。
S8.国道バイパス道路・交差点
交差点の南の横断歩道
英汰達が、帝国の攻撃を備えて、警戒中。
MMCV型の後ろに、73式大型トラックや高機動車が停車。簡易式テントも存在。
三好「もう、こんな時間か」
腕時計の時刻が、14時6分と表示。
英汰「三好一曹、あと二十数分後に、獅子隊第一陣の撤退ですね」
三好を向いて言う。
三好「坊主、それまでに、首都防衛隊や他の陸自の面々が来るかだ」
と言って、遠い方向の帝国軍の行軍を見ている。
宍戸「よっ、英汰! 」
英汰「!? 」
声の方向に振り向く。
英汰「宍戸三曹! 」
宍戸が、戻って来る。後ろには、数名の隊員が居る。
宍戸「只今戻ってきました! 」
敬礼。
三好「宍戸! お疲れ様! 」
三好も敬礼。
宍戸「全く、人使いが荒いっすよ。戦闘形態の前に、何でも良いから、引きつける様に、思いっ切り物を投げろって! 」
苦笑い。
三好「スマン、身軽な隊員が、お前達だけだったからな。獅子隊が攻撃できる切っ掛けを作るには、是しかなかった」
三好も苦笑い。
宍戸「もう、近くに、工事現場・・・」
英汰「三好一曹! 」
叫ぶ。
三好「どうした!? 」
小銃を携帯しながら、英汰に近付く。
英汰「次の刺客来ます! 」
騎兵達の亡骸が消滅。
三好「嗚呼、やっぱり! 」
小銃を構える。
布川「三好一曹! 英汰! 」
英汰と三好が振り向く。
布川「マッ、魔法兵士です! 」
双眼鏡を見て叫ぶ。
遠距離の道路に、ゲートが発生し、魔法兵士達が、低空飛行で出現。
三好「来たか」
額に汗。
英汰「彼奴もいるな」
脳裏に、魔法兵士の隊長の顔が過る。
15名の魔法兵士が、獅子隊の2、300m前の道路に着地。
5→4→3→2→1名の逆三角形の陣形で、8m前後の横幅と10mの縦幅の間隔を開けながら、立っている魔法兵士達。
奥の1名の陣形には、隊長がいる。
三好「さて、どうするかだ」
小銃を構え、先の魔法兵士達を見ながら言う。
布川「荒鷲隊、到着間近です! 」
由比「此方から、攻撃を仕掛けろと言う事ですか? 」
動かない魔法兵士の陣を見ながら言う。
三好「彼方側が、格上と言う事をアピールしたいんだろう」
横顔のアップ。
英汰「三好一曹! 先ずは、俺達獅子隊で行きましょう! 」
三好を向いて言う。
(第8話に続く)