混沌戦記ー斯くして少年は世界を救う英雄とならんー 第5話「勝者の行進」
前エピソード:逆三戦法
S1.公民館・事務室
事務室。
英汰、播磨達の第6小隊が、ドアを開けて、入室してきた隊員の話を聞いている。
播磨「緊急事態!? 」
額に汗。
英汰「バンさん、只事じゃないですね!」
目が鋭くなる。
播磨「嗚呼、英汰」
額に汗して頷く。
播磨「英汰、第6小隊の皆、会議室に行くぞ」
一同「了解! 」
会議室に急行する英汰、播磨達。
S2.公民館・会議室
会議室。机はなく、前方に、教卓、ホワイトボートが設置。教卓には、戦車やヘリ の玩具がある。
椅子が置かれ、英汰、綾音、播磨達が、各装備を外して、座っている。
英汰の隣には、播磨が座っている。
固唾を飲んで、英汰達が、長船の到着を待つ。
ドアが開き、長船が、二人の副官と共に、入室する。
中心に、長船が立ち、左右に副官二人が立つ。
長船「第七臨時基地の皆よく来てくれた。是から、私の言う事を良く聞いてくれ」
英汰達、真剣な表情で話を聞く準備。
長船「県北の第一臨時基地が壊滅した」
真剣な表情の長船の顔のアップ。
一同「!? 」
驚く、英汰達。
隊員16「どういう事ですか!? 」
立ち上がる。
長船「駐屯地に、命懸けで退避した第一基地の生存者の情報では、数十万の帝国軍が攻めてきて、瞬時に全滅したと言う事だ」
回想・馬上騎士を中心に、背後には、大量の兵士達が控える。
隊員16「どれ位いるんだよ」
額に汗。
播磨「ヤバい事になったな」
苦い表情で、小声で言う。
長船「その数十万の帝国軍が、我が県で展開中の部隊と合流しながら、首都東京を目指して、南下を開始した」
長船の全身の画。
英汰「このまま行けば、東京に一直線じゃないか! 」
話に見入る。
長船「帝国軍が、首都東京に入り、陥落すれば、イコール日本の陥落だ。恐らく、略奪を始めとする非人道的行為が始まる」
回想・剣を持った帝国軍兵士が、スーツ姿の男性に襲い掛かる。
播磨「もう、陸自、否日本には、後がないのか? 」
額に汗して、真剣に聞く。
綾音「統合作戦司令部や武力攻撃事態等対策本部、現地対策本部は、何の通達が
無いんですか!? 」
立ち上がる。
長船「有無、里和二尉。統合作戦司令部と武力攻撃事態等対策本部は沈黙を貫いている」
目を閉じて言う。
綾音「そんな・・・」
愕然とする。
長船「だが! 」
しっかりと、目を開く。
長船「現地対策本部、正式には武力事態等現地対策本部からは、撤退するか、駐留するか、各自の判断に任せると通達があった」
真剣な表情で言う。
英汰「!? 」
何かに気付く。
長船「各自の判断。私は、この言葉に従って戦う」
英汰達を見る長船。
播磨「と言う事は? 」
真剣に、長船を見る
長船「私は、あの数十万の帝国軍と戦う事に決めた。条件付きでだが」
ニヤリと笑う。
隊員17「それ、何ですか? 」
額に汗。
長船「第7臨時基地を中心に部隊を編成する! 同時に、東京と全国の陸自に応援を要請し、合流して、大規模な戦闘を展開する」
隊員17「そんな事、出来るんですか! 」
立ち上がる。
長船「東京の各駐屯地、そして、陸自の首都防衛隊は、自衛隊最強の戦力だ。彼等だって、南下する帝国軍は見過ごせん」
回想・防衛庁建物と建物前の多くの自衛官達。
長船「それに、この一件を聞いて、何としてでも、A県に馳せ参じる全国の陸自の自衛官達もいるだろう」
冷静に言う。
英汰「この人は、本気だ! 」
長船を見て言う。
長船「集結した陸自の大部隊で、数十万のロバスト帝国軍と戦う。そして、第七臨時基地は、徐々に撤退、だから条件付きだ」
ニヤりと笑顔。
播磨「成程」
笑顔で納得。
長船「安心しろ! 援軍が来なかった事も考えてある! 」
英汰達を見渡す。
英汰「長船一尉! 作戦は、どうすんですか? 」
手を挙げて聞く。
長船「今、第二、第三基地が、撤退しながら、戦闘して、時間を稼いでいる間に、作戦の立案と各基地に応援を要請する! 」
回想・帝国軍の兵士と小銃で戦闘する自衛官。
綾音「つまり、今日中ですか?」
額に汗。
長船「突貫作業だがやるしかない」
真剣な表情で言う。
播磨「修羅場ですが、やるしかないですね! 」
覚悟を決めた表情。
長船「嗚呼」
頷く。
播磨「長船一尉! 一つ気になったのですが? 」
長船「何だ、播磨二曹? 」
播磨「帝国軍が県北から南下と言う事は、国道の道路を使用する可能性があります。先刻の戦闘で、多少也とも、気付きました」
回想・免許センターと商業施設の戦闘場面。
長船「私も、そう思っていた。私の仮説だが、先刻の戦闘の帝国軍の部隊は、数十万の軍勢を誘導する先導隊かもしれん」
英汰「新幹線を乗せた大型トラックを誘導する誘導車みたいな物ですが? 」
横から入る。
播磨「コラ! 英汰! 」
突っ込む。
長船「仙仁陸士長の言う通りだ」
笑顔で返答。
綾音「長船一尉。恐らく、ロバスト帝国は、この県自体を、東京へと繋がる『通路』にしたかったのかもしれません」
長船を見ながら言う。
長船「この県が、帝国との激戦地なのも分かって来たな」
腕組して言う。
播磨「私は、国道のバイパス道路が怪しいと睨んでいます」
播磨の顔のアップ。
長船「そうなって来ると、戦闘の場所は決まって来るな」
腕を組んで、真顔になる。
英汰「話は変わりますが、長船一尉。魔法兵士達は、どうしますか? 」
真剣な表情になり、脳裏に、隊長を始めとする魔法兵士が登場。
長船「彼等を忘れていた! 」
上を向いて言う。
英汰「自分は、魔法兵士は、一人イコール戦車一台分だと思って戦います」
教卓の戦車の玩具のアップ。
隊員16「戦車があれば・・・」
下を向く。
綾音「戦車部隊と戦闘車輌群は、現在も日本各地で帝国軍と戦闘中で、此処では使えない」
頭に手を当てる。
長船「この基地に近い自衛隊駐屯地は? 」
周囲を見渡す。
播磨「私の居た納與陸上駐屯地です! 」
直ぐに返答。
長船「播磨二曹、有難う。その駐屯地から、私が何とか、託けて、戦闘車輌を使用できる様に手配しよう」
口に手を当てて言う。
播磨「私も、駐屯地に行って、手伝います」
長船「第7臨時基地の自衛官諸君、この作戦の戦闘は、私が全責任を持つ。戦闘に参加したくないなら、撤退して構わん」
真剣な表情で、英汰達を見ながら言う。
N 「俺は、撤退しないぞ! 」
真剣な表情の英汰の独白。
播磨、綾音達も真剣な表情。
長船「諸君! この大一番の戦闘に、力を貸してくれ! 」
眼つきが鋭くなった、長船の顔のアップ。
S3.戦闘準備
戦闘準備。モンタージュ的描写で展開。
N 「こうして、第7臨時基地の陸上自衛隊の自衛官達最大の戦闘に向けての準備が開始された」
英汰達、小銃の弾倉をブラックテープでWマガジンにする。
長船が、会議室で、部下と地図を見て、策を練る。
綾音が、事務室で、小隊の隊長たちと部隊編成の会議を行う。
播磨が、駐屯地の車庫で、戦闘車輌を見ている。
自衛官達が、通信機の置かれた部屋で、通信機で他県に応援を要請する。
S4.公民館・駐車場(夜)
夜の駐車場。
N 「そして」
英汰が鉄帽と装備を外して、小銃に銃剣を装着し、銃剣格闘の訓練。
英汰「ハッ! 」
高速で、銃剣を突く。
声 「坊主! 」
英汰「!? 」
声の方向に振り向く。
三好「加勢に来たぜ! 」
三好が、満面の笑顔で、第10小隊と第8臨時基地の隊員を引き連れてやって来る。
英汰も、ニヤリと笑顔。
S5.和室(内部)
内部。畳が敷かれた室内。
N 「翌日。運命の日」
戦闘準備をする隊員達。
声 「ちゃんと、奇麗に掃除しろよ! 」
和室を掃除する隊員もいる。
英汰が、素早く鉄帽、各種装備を装着。
英汰「よし! 行くぜ! 」
目が鋭くなり、真剣な表情になる。
(第6話に続く)