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「それならお前がやってみろ」論を考える ※ほならね

いやーほならね(ry

よく言われるタイトルの議論ですが、果たして正論か詭弁か?ここでは、行為の仕手側を「作り手」、その行為によって何かしらの影響を受ける側を「受け手」と呼ぶことにします。

「作り手」がアマチュアの場合

これは議論の余地もありません。プロとアマチュアとの違いの一つは、その行為によって金銭が(結果を残し続ければ恒常的に)発生するか、それによって生計を立てられるかどうかです。そして、金銭が発生する行為には勢い、一定のクオリティを提供し続ける責任が伴います。

しかし、アマチュアの行為によって金銭が発生することはありません金銭を受け取った時点でその「作り手」は全てプロとみなされます。すなわち、金銭を受け取らない状態であるアマチュアの「作り手」による行為には金銭に伴う責任が発生しないのです

「作り手」に金銭が発生しなければ、当然「受け手」にも金銭的な損害は発生しません。そんな状態で「受け手」が「作り手」にあーでもないこーでもないと文句を垂れるのは無駄な行為です。「作り手」が「それならお前が」という前に、「受け手」が文句を言うのが、そもそも間違いということになります。

※金銭以外―感情的な部分で批判が沸き上がることはありますが、そんなことを言っていたらキリがないのでその辺は自分で対処してください。

「作り手」がプロの場合

では「作り手」が金銭を受け取る、または発生させるプロの場合はどうか?これは慎重な議論を要します。
分類が細かくなりますが、「作り手」「受け手1」「受け手2」を想定します。「受け手」を1と2に分け、1を同業者のプロ(=自分でやる能力を持った人)、2をその他(=能力を持っていない人)とします。
そして、以下の
・「作り手」は一般的に成功しているか、失敗しているか
・「受け手1」および「受け手2」が「作り手」の作品を称賛しているか、批判しているか

の観点から、それぞれのパターンを考察します。

①「作り手」成功 「受け手1」称賛 「受け手2」称賛

これについては何も言われる道理がありません。

②「作り手」成功 「受け手1」称賛 「受け手2」批判

これも「作り手」は「受け手2」の批判を受け入れる必要はないと言っていいでしょう。この場合の「受け手2」の批判は嫉妬によるものか、的外れなものである可能性が高いからです。
批判は、必ずしも全部を受け入れなければならないものではありません。

③「作り手」成功 「受け手1」批判 「受け手2」称賛

これについては、「作り手」の「それならお前がやってみろ」が最も通りやすいケースと言えます
「作り手」の行為は「受け手2」にも一般的に受け入れられているし、「受け手1」はそれをするだけの能力を持っているのだから、「じゃあ君もやってみたら?成功するって分かってるんだから」という理論が通ります。煽りというよりも、「成功はそんな単純じゃねーぞ」という考えが裏にあります。

④「作り手」成功 「受け手1」批判 「受け手2」批判

これでなぜ「作り手」が成功するのか?という疑問も浮かぶでしょうが、この場合「作り手」が反社会的・反道徳的な行為を行っている可能性があります。現時点では成功を収めているとしても、その成功はすぐに終わる可能性が高いです。「お前がやってみろ」などと言っている場合ではありません。

⑤「作り手」失敗 「受け手1」称賛 「受け手2」称賛

ここからは「作り手」が失敗しているので、上記4パターンとは議論の観点が違ってきます。このパターンは「受け手」が応援してくれているので、「作り手」は頑張るしかありません。

⑥「作り手」失敗 「受け手1」称賛 「受け手2」批判

「作り手」は失敗していますが、「受け手1」はその理由が分かっているので批判をしていない状態です。ここで「作り手」は「受け手2」に対し、自分の失敗の理由を、なるべく分かりやすく説明するのが得策と言えます。もちろんそれをしない選択肢もありますが、何もしなければ批判を受けっぱなしの状態となります。それに加え、「受け手2」の金銭によって行為をしているのであれば、ますます説明責任が伴います。ここで「お前がやってみろ」というのは、全員にとって最悪の選択と言えるでしょう。
逆に、「受け手1」が同様の状態から成功を収め、「作り手」の無念を晴らすというケースもあります。まさに「俺の屍を越えてゆけ」状態です。

⑦「作り手」失敗 「受け手1」批判 「受け手2」称賛

これは「受け手2」が「作り手」の信者化しているパターンです。目に見えた失敗なのに「受け手2」がそれを称賛しているという奇妙な状況で、「作り手」が自分の失敗をプラスな方向に錯誤する可能性すらあります。もちろん称賛される部分もあるのでしょうが、「受け手1」の批判を受け入れなければ、いつまでたっても「作り手」は成長しないでしょう。

⑧「作り手」失敗 「受け手1」批判 「受け手2」批判

四面楚歌ともいえる状況です。こうなってしまうと、「お前がやってみろ」と言ったところで誰にも賛同されません。何かしら目に見えて誤っている点があるはずなので、まずはそこを直す所から始めなければなりません。

まとめ

以上、「お前がやってみろ」論を8パターンに分けて分析してみました。
「作り手」がプロである以上、基本的に「お前がやってみろ」という意見は「それがお前の仕事だろ」で返されて終わりの場合が多いです。そもそも、「受け手」は「作り手」の行為を享受し、評価する時点でその責任を果たしており、「作り手」は「受け手」が満足するものを提供するのが仕事です
その仕事をできていない時点で、「作り手」は謙虚にならなければいけない。それがプロの本質と言えます。

しかし、「作り手」にも意見を表明する権利は当然あります。それぞれの状況において、ここは自分をしっかり持って意見を押し通す、ここは批判を受け入れて自分の糧にする。その分別を付けられるのが、一流の「プロの作り手」と言えるでしょう。


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