有機農業者を育てる「有機の学校 ORGANIC SMILE」とは?
有機農産物を広げていくことは、アイチョイスの目標の一つ。
そのためには、生産者を増やすことが大きな課題です。
農薬に頼らない有機栽培の新規就農・継続には、様々なハードルがあります。
そんな生産者を支援するため、アイチョイスは他の生協と協力し、有機農業について学ぶ「有機の学校 ORGANIC SMILE」を2022年に開校しました。
有機の学校 ORGANIC SMILEとは?
「有機の学校 ORGANIC SMILE」があるのは、熊本県上益城郡山都町(かみましきぐんやまとちょう)。
有機JASの認証登録農家が日本一多い町です。
ここでは、農薬を使わずに高品質・多収穫を実現する「BLOF理論」を中心とした座学や、畑での農業技術の実践を年間120時間(毎月2日)じっくりと学びます。
また、農家として独り立ちするためには農業経営知識も重要。
その点、山都町には有機栽培農家がたくさんいるので、先輩から知識を吸収することができるのです。
他にも、有機の学校 ORGANIC SMILEが住居をあっせんしたり、生協が関わって卒業生の野菜の販路を確保したりと、手厚いサポートが受けられます。
初年度は10名だった研修生ですが、第二期目となる2023年は、20名の研修生を迎えました。
熊本県内を中心に九州の方が多いですが、昨年は大阪から移住してきたメンバー、今年は横浜から毎月通うメンバーも。
メンバーは10~20代の方が多く、活気にあふれています。
研修は大きく下記の3コースがあり、自分のレベルに合わせて選ぶことができます。
[1]新規就農者向けの「オーガニックファーマーコース」
[2]農業をやっていてさらに有機農業について学ぶ、また、将来の就農に備えて学ぶ「オーガニックスタディコース」
[3]先輩農家のもとで短期的に有機農業を体験する「オーガニック体験コース」
卒業生のアイチョイスへの出荷はまだありませんが、独り立ちに向けてアイチョイスの関連会社で農業に従事している方もいるそう。
卒業生の野菜が出荷される日が楽しみですね。
どうして設立されたの?
なぜ有機の学校 ORGANIC SMILEが設立されたのでしょうか。
その背景には、農業者の担い手不足解消や有機栽培のノウハウを伝えていきたいという熱い想いがありました。
日本の農業は、高齢化・人材不足・自給率の低下が深刻な問題となっています。
そんな中でも、「有機野菜を作りたい」と新規で農業に取り組もうとする人は増加傾向に。
しかし、農薬に頼らない栽培は難しく、断念してしまう人も多数いるのが現状です。
そこで、アイチョイスの理事長をはじめ「有機栽培を広げるために、栽培技術を学ぶ学校を作ろう!」という思いを共有したメンバーが、有機の学校 ORGANIC SMILEを立ち上げました。
BLOF理論を基礎としたカリキュラム
BLOF理論は、有機栽培を経験や勘に頼ることなく、下記の3つの分野に分けて考察し、科学的・理論的に栽培をする技術です。
[1]作物生理に基づいたアミノ酸の供給
[2]土壌分析・施肥設計に基づいたミネラル肥料の供給
[3]太陽熱養生処理を用いた土壌団粒形成、土壌病害菌抑制、水溶性炭水化物の供給
詳しくはこちら:BLOF理論について/有機栽培で使用する3つの資材 | ジャパンバイオファーム/有機農業技術の研究・BLOF理論・土壌分析・資材販売 (japanbiofarm.com)
有機の学校 ORGANIC SMILEでは、BLOF理論をしっかりと学べることが特徴のひとつです。
その他にも、植物の成り立ちから学ぶ「栽培基礎理論」、土壌の状態を知り栽培に活かす「土壌分析」や、先輩農家から実地で学ぶ「栽培講座」等を学びます。
また、生協が関わっていることを活かし、アイチョイスが問題提起しているネオニコチノイド系農薬やゲノム編集、遺伝子組み換え等についても学習しますよ。
有機の学校 ORGANIC SMILEの施設案内
講義は基本的に研修室で行います。
BLOF理論で重要となっているのが、土の中身を知る「土壌分析」と作物に合わせた畑の施肥設計です。
土壌分析と肥料設計の方法はこちら。
[1]土をふるいにかけ、専用の試薬と器具を使い、土の中の成分を取り出す。
[2][1]で取り出した成分を試験管に移し、試験管ごとに試薬を添加して発色させる。
[3]発色の度合いを機械で読み取る。
[4]測定した値を施肥設計ソフトに入力し、畑に必要な肥料を算出する。
作物によって必要な肥料成分が違うので、作物ごとに分析する必要があります。
この土壌分析室は、卒業生でも使えるようになっているので、自分の畑の土を持ち込み分析しているそうです。
卒業後も機材を使えるのはありがたいですね。
有機の学校のカリキュラムは、毎月2日間。遠方からでも参加いただけるよう、宿泊室が用意されてます。
敷地内には、ハウスも完備。こちらで作物の栽培をしたり、苗を育てたりしています。
もっと有機野菜を広げるためには?
アイチョイスでは、組合員の「いつも安全で美味しい有機野菜を食べたい!」の声にこたえ、もっと有機農産物を広げていけるよう、これからも有機の学校 ORGANIC SMILEの活動を支援しています。
そして、有機栽培に取り組む生産者が増えることで、有機野菜を安定した価格で、組合員さんにお届けできるのです。
この生産者とアイチョイス、そして組合員の輪をこれからも育てていきましょう!
👇この記事を書いたのは
※こちらの記事は、2023年9月21日「みっくすなっつ」に投稿された内容です。
👇もえぞーが書いた記事
★今回紹介した有機の学校の先生インタビューです!
有機の学校 ORGANIC SMILEの先生に聞いてみた!|つくる人のはなし|みっくすなっつ アイチョイスのWEBマガジン (ichoice-coop.com)