シャンカール・ノグチさんに教えてもらったおいしいスパイス野菜炒め(サブジ)を作るコツ
薬膳を始めてから、食事に登場することが増えた食材と言えば、長芋ではないかと思います。
長芋は生でも食べられて手軽に取り入れられるうえ、年中スーパーで安価に手に入るのが嬉しい。
「山のウナギ」とも呼ばれ、昔から滋養強壮の食品として親しまれてきました。
私の中医学の先生も、毎日60gの長芋を365日欠かさず食べているそうです。その先生、もうすぐ還暦を迎えるのに60歳近くには見えないほど若々しい見た目を保っています。
薬膳を学ぶ前は、長芋を自分から買うことはなかったのですが、最近では冷蔵庫に長芋を常備するようになりました。
長芋は、薬膳的には主に脾(胃腸)や腎を補う食材として知られています。気力が不足していたり、消化がうまくいかないときなどに役立ち、全体的な健康をサポートしてくれるので、体調がすぐれない時にもぴったりの食材です。
また、「腎」は生命エネルギーの源と言われる大切な部分なので、長芋は子どもからお年寄りまで、日常的に食べたい食材だと思います。
今回は、薬膳でも大人気の長芋を使ってサブジを作りました。サブジはインドの料理で、野菜とスパイスを炒めたものです。
私はインドを8か月ほど旅していた時、毎日のようにサブジを食べていたので、懐かしい味です。
これまではひとつの野菜を使ってサブジを作ることが多かったのですが、昨年イベントでシャンカール・ノグチさんとスパイス料理を作ったとき、彼はどんなサブジにも必ず玉ねぎを加えると言っていました。
「玉ねぎを使うと、うま味が出るよ」と教えてくれました。
私も玉ねぎを必ず加えるようになり、今回は玉ねぎ、クミン、長芋、エリンギ、ターメリックを使ったサブジを作りました。
玉ねぎを使うと確かにうま味もアップして野菜とスパイスの馴染も良くなっています。
疲れやすくて気が足りていないと感じる時に山芋を使うなら、胃腸の働きを助けるために、気の巡りを良くする食材を一緒に取り入れるとより効果的です。
長芋は甘性で潤す作用があり、食べ過ぎると余分な水分が溜まりやすくなるので、胃腸の働きを助けるために、気の巡りを良くする食材と組み合わせることが大切です。
私の家では、子どもたちが小さいので消化機能がまだ未発達だと思いますし、私も夫も胃腸が強くないので気を補う食材を使うときは、気の巡りを良くする食材や消化を助ける食材も一緒に加えるようにしています。
薬膳的に見ても、玉ねぎは気の巡りを良くしてくれるので、サブジに限らず炒めものの時には玉ねぎを入れることが多いです。
エリンギやターメリックは「祛風湿(きょふうしつ)」といって、余分な水分が体の外側、例えば皮膚や関節に溜まっているときに役立ちます。夫が時々関節痛を訴えることがあるので、よく使う食材です。
クミンも気の巡りを良くする食材で、ターメリックも同じ効果があります。長芋はスパイスと相性が良く、他にもコリアンダーや山椒と合わせることが多いです。
シャンカール野口さんはとても優しい人ですっかりファンになってしまいました。
シャンカールさんの「スパイスの世界へようこそ!」にサインをお願いすると、とっても快くサインをしてくれました。
この本はシャンカールさんの家のスパイスライフのことから、スパイスの歴史からレシピまで幅広く載っていて、読み物としてもすごく面白い本です。
シャンカールさんの人間性が伝わってくる大好きなスパイス本です。
スパイス料理も薬膳的視点で見ると、理にかなっていることが多くて、とても面白いです。
これからも薬膳的視点を加えたスパイス料理をたくさん作っていこうと思っています。