3つの好きな映画|「今さら」ではなく「今から」戦前古典の名作を[チャップリン、ウェルズ、キャプラ]
「今さら」ではなく「今から」
「もっと早ければ」「今となっては遅すぎる」「もっと若ければ」つい口にしてしまいそうな、後ろ向きな「今さら」という言葉。そんな時は、“さ”の一文字を“か”に変える。
言葉が変われば、意識が変わる。
ということで、新年一発目は、戦前の古典映画3選。いずれも映画史に残る名演説で聴衆を魅了するもの。強い決意表明で、想いを口にするもの。
「今さら」と思わずに、新年の「今だからこそ」、古典映画の名演説に浸ってみる。勢い余って、自分の新年の決意表明まで口にすることができれば、儲けもんじゃない? という話。
「Impossible → I’m possible」
オードリー・ヘップバーンが言ったとされる有名な言葉。「’」をひとつつけただけで真逆に意味に変わるもの。不可能だと思えたことも、諦めなければ実現できる。「自分はできる」と言い聞かせる。
アイデアに価値はない。
行動することに意味がある。
意識を変えて、行動を変える。行動が変われば、習慣が変わり、運命が変わる。
今日から2023年。
さて、どんな1年になるのでしょう。
チャップリンの独裁者|1940
ヒトラーに間違われた床屋の史上最高のスピーチ
チャップリン初のトーキー作品で最高傑作とも言われる風刺コメディ。何がすごいって、映画の公開が1940年。戦争の気配はなく、平和な世の中。ドイツはもとより、アメリカでもナチスの人気が高く上映妨害に遭う時代。
そんな時代に、チャップリンが製作・監督・脚本・主演を務め、ヒトラーの狂気を笑いとばし、その欺瞞を告発する。
ラスト6分間の大演説は、ファシズムの恐ろしさを糾弾し、平和のために団結する必要を訴える映画史に残る名場面。
市民ケーン|1941
アメリカ映画史上ナンバーワンと謳われる名作
オーソン・ウェルズが製作・監督・脚本・主演を務める。今では当たり前になっている時間軸の組み替え、長回し、奥行きの深い絵づくりなどなど、革新的な映像表現とストーリー構成を、若干25歳の初監督で成し遂げる天才。
主人公の巨大な顔写真を背後にした演説シーン。正気を逸脱した、狂気の状態を暗示させ、不安感を煽り立てる映画史に残る名場面。
スミス都へ行く|1939
理想に燃え、腐敗した議会で23時間の大演説
「素晴らしき哉、人生」「或る夜の出来事」など、名作揃いのキャプラ監督の代表作。この映画の見所はなんといっても、スミス議員が、自らの汚名を晴らし、不正を弾劾するために上院で行う演説のシーン。
ポイントはフィリバスターと呼ばれる議員特権。少数派の意見を尊重するアメリカの理想を体現する制度で、「いかなる上院議員も、他の議員の討論を中断させることができない」というもの。
23時間を超える大演説の末、力尽き意識を失う。その姿に良心の呵責に耐え切れなくなった汚職議員は、ついに不正を認め、戦いに勝利する。
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